高校生らを対象とした講演会「『がん』についてもっと知ってみよう!!」を開催しました

大学院医学研究科と医学部付属病院では8月27日に東京・霞が関の東海大学校友会館で、高校生らを対象とした講演会「『がん』についてもっと知ってみよう!!」を開催しました。本学は文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」の採択を受け、慶應義塾大学を中心とした9大学とともに「高度がん医療開発を先導する専門家の養成」に取り組んでいます。この講演会は、「がん」に関する正しい知識を持ってもらうと同時に、自身や大切な人が「がん」になったときに病気や患者とどう向き合うかについて考えてもらおうと、一般社団法人がん哲学外来と共同で開いたものです。当日は、順天堂大学医学部教授で同法人の理事長を務める樋野興夫氏と本学医学部の安藤潔教授が講演し、高校生や保護者のほか、教員や医療従事者ら約80名が参加しました。

はじめに小林広幸医学研究科長が登壇。「『がん』と診断される人は年間100万人で、2人に1人が『がん』になる時代です。本日は2人の先生の講演を通して、さまざまな観点から『がん』について考えてください」とあいさつしました。続いて安藤教授が「がんはどんな病気か?」をテーマに講演。「細胞分裂の際にコピーされた遺伝子に傷がつき、それが蓄積すると細胞ががん化する」とがん発生のメカニズムについて説明しました。また、日本人の平均寿命の推移を医療、福祉の歴史と比較しながら紹介し、「高齢になるほど遺伝子は劣化します。寿命が長くなったことが、がん患者が増えた大きな要因といえます」と解説しました。「癌も単なる個性である」と題して講演した樋野教授は、がん患者やその家族、医療従事者などの立場を越えて対話する場をつくり、がん患者が人とのつながりを感じながら尊厳を持って生きるためのサポートを行う「がん哲学外来」の考え方や活動を紹介。「”病気であっても病人ではない””病気も単なる個性である”と人々が認める社会をつくらなければならない」と語りました。

終了後には参加者から多くの質問が寄せられました。高校の教員からの「生徒に対するがん教育のあり方」に関する質問に対しては、安藤教授が、「がんに対する最新の情報を伝えていくことも大切ですが、人生観や死生観と結びつける教育も必要なのではないか」と回答。樋野教授は、「がんを患った児童や生徒を学校でどう受け入れるかを考えることも今後の重要なテーマ」と指摘しました。また、訪問介護に携わる介護士からは、「終末期の患者に対する対応」について質問が出され、樋野教授は、「自分の気持ちで接するのは”よけいなおせっかい”ですが、相手の気持ちに共感するのは”偉大なるおせっかい”。狭い空間の中で互いに黙っていても、苦痛にならない空間をつくれるように訓練することが大切です」とアドバイスしました。

参加した高校生は、「小児がんの患者さんを救うため、医師を目指しています。病気は治療で治すものと考えていましたが、先生方の講演を聴いて、”心で治すもの”だと学びました。患者さんの心に寄り添える医師になりたいと思います」と話していました。

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