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「東海大学湘南公開セミナー」は、湘南キャンパスの学生と教職員が一体となって運営している、地域に開かれた無料の講演会です。毎回さまざまなジャンルの講師を招いて、年6回ほど開講しています。この講演会の特徴は、学生と教職員、そして地域の方々が、それぞれの関心から同じ会場に集い、ともに講演に聴き入り、学び合える場であること。地域社会と共生する湘南キャンパスの一つの文化として定着しています。

学生委員たちが企画するバラエティに富んだテーマが魅力

【写真】学生ミーティング風景
委員会室でミーティングを行う学生委員たち。会場設営、講師の出迎え、司会進行など、当日の役割を確認
【写真】学生ミーティング風景
たくさんの方に聴いていただこうと、告知チラシを手にPRの計画を立てる学生委員たち

「東海大学湘南公開セミナー」は、東海大学湘南公開セミナー委員会によって1975年より継続的に運営されてきました。委員会は、学生委員と教職員委員がほぼ半数ずつというメンバーで構成され、教職員の助言のもと、学生主体で意欲的に活動しています。第291回のダニエル・カール氏の講演を控えて準備も追い込みに入る公開セミナー委員会に、学生委員を訪ねました。

「今回、講師をお願いしたダニエル・カール氏は、アメリカ人でありながら山形弁を流暢(りゅうちょう)に話すマルチタレントとして幅広い年代におなじみの方です。講演では、外国人の立場から見た日本について語っていただきます」と、学生代表の和田勇太さん(文学部3年次生)。

テーマの設定にあたっては、毎回、学生の関心や問題意識が反映されているのが特徴です。これまで開講されたテーマをたどると、環境、テクノロジー、生物、政治、社会、心理、スポーツ、芸術、コミュニケーション、生き方など、自然科学、社会科学、人文科学、人間科学といった多分野からバランスよく幅広い内容を網羅しています。これは東海大学が、文理融合の建学の理念のもと、調和のとれた文明社会に貢献する多様な視点を育成するために、全学生の共通科目としている「現代文明論」の成果の一つといえるかもしれません。今回のタイトルは、『オラの大切なものふるさと』。このテーマには和田さんはじめ学生委員の思いがありました。

「日本人は、これだけ快適に過ごせる環境にありながら、最近のいたましい事件などを耳にすると、悪い一面を捉えて悲観的になりがちだと感じます。ダニエル・カール氏は、日本を愛する外国人としていつも日本の良さを率直に語っています。そのお話から学生や地域の聴講者の皆さんに、日本を見直すきっかけをつくっていただけたらと思っています」。

学生自らの問題意識に社会的な視点を結びつけて、学生や地域の方々が気軽に聴講できる講演会として提供している「東海大学湘南公開セミナー」。30年を越える歴史の重みは、そのまま学生たちの責任感の強さとなっています。

「アンケートを集計すると、地域の聴講者の方は20歳代から90歳代までと幅広く、何度も繰り返していらしてくださるのがわかり、とても誇りに思います。これからも委員一同、知恵をしぼって聴講者の方々の期待に応える講演会を企画していきたいと思います」。

第291回 湘南公開セミナー内容紹介
【写真】講演の様子
テレビでの印象と変わらぬフランクな話しぶりに、聴講者もリラックスして聴き入った
【写真】講演の様子
講演後の質疑応答では壇上を降り、自らマイクを片手に会場を回るダニエル・カール氏
第291回『オラの大切なものふるさと』
日時 2008年5月27日(火)17:00〜18:45
場所 松前記念館 講堂
講師 ダニエル・カール氏
(山形弁研究家・タレント)

ダニエル・カール氏といえば、愉快な山形弁のトークで有名ですが、初めて来日した地は、高校時代に交換留学生として1年間滞在した奈良県だそうです。さらに大学時代には、大阪の関西外国語大学に4ヵ月学んだ後、京都二尊院に2ヵ月間ホームステイ、佐渡島で4ヵ月間文弥人形づかいの修行も体験しています。いずれも特色ある方言が使われる土地だけに、「標準語を覚えたかった」と冗談まじりに思い出を語り、会場を沸かせました。その後、アメリカに戻り、パシフィック大学を卒業。日本の文部省(当時)英語指導主事助手に採用され、赴任したのが山形でした。
山形は、ダニエル・カール氏の生まれ育ったふるさと、カリフォルニア州モンロビア市を思い起こさせたとのこと。気候の違いこそあれ、山が生活の身近にある環境は子どもの頃から親しんだものだったそうです。ふるさとが自分の性格を形づくったと語るダニエル・カール氏。遠く離れてもアイデンティティの根源である大切なものなのです。自然の中で育まれた旺盛な好奇心とバイタリティあふれる行動力で、山形での3年間の教職を務めた後上京し、現在はタレント活動と翻訳・通訳サービス会社の社長業を両立させています。
ダニエル・カール氏は、山形で結婚し子どもをもうけ、一家で山形を離れた今でも率先して山形の「自慢」をしています。日本人の「謙遜」は美徳でもありますが、自分のふるさとを、だめだとけなすだけでは無責任だと語ります。良いところを自慢することが、ふるさとを育むことにつながると。くっきりとした四季、人々の親切心、独特の文化、治安の良さ、充実した公共交通網など、外国人の視点から日本の良いところをいくつも挙げてくれました。日頃、あたりまえに思っていることに改めて感謝し、日本人の一人として日本の良さを守りたいと考えさせられた1時間半でした。

セミナーの感想

【学生の声】

セミナー委員会 学生代表 和田勇太さん
ダニエル・カールさんの発信した言葉をご来場の皆さんが受け止めて、うなずいたり、笑ったりするのを見て、会場の一体感を感じました。ダニエル・カールさんはテレビで拝見するのと同じように気さくで温かい方でした。

【聴講者の声】

20歳代 女性 会社員
ダニエル・カールさんのプラス思考の姿勢に教えられ、たいへん勇気づけられました。

80歳代 男性
期待した以上の内容で本当に興味深いお話でした。講師の温かい人柄に触れ感動しました。

1975年4月に第1回を実施して以来、継続して開かれている公開講演会です。その誕生の経緯には、東海大学が大学の一般教育の変革を図るために、まずは学生の関心を知る手段として、学外の多方面から講師を招く講演会を検討していたことが挙げられます。さらに同じ頃、学生会の学生たちも、学外の講師による自主講座を開きたいと考えていました。当時は今よりも東京都心との時間的距離があり、キャンパスのある地元に文化を呼び込みたいという思いがあったようです。こうした目的が一致して、学生と教職員が一体となって企画・運営する「東海大学湘南公開セミナー」が誕生しました。以来30余年、多彩な講演会を無料で提供し、まもなく第300回を迎えようとしています。

※原稿内の学年・年次は2008年度のものです。

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