地球環境科学研究科 地球環境科学専攻(博士課程)

研究科・専攻の教育研究上の目的及び養成する人材像

21世紀は地球生態系保全と生命科学の時代と言われている。人類は70億人を超え、この地球上のドミナントとなった。前世紀までに構築された科学技術による大量生産、大量消費、大量廃棄などの社会システムにより生じたさまざまな地球レベルでの環境問題―地球温暖化やエネルギー問題など―により、人類は地球上の人類を含むすべての生物の生存に影響を及ぼすまでになっている。38億年に及ぶ地球の生命の時間スケールから見ると、人類は地球システムを一瞬のうちに変質させたと言える。今世紀においては、地球システムを構成する大気、水、土壌、生物などが有限であり、人類が獲得してきた技術に傷つきやすいことを認識し、今後の人類の生存、地球環境の保全のためには、地球生態学、生命科学、地球観測科学等からなる新しい「地球環境科学」を構築することが求められている。

このような背景を踏まえ、今世紀の科学は、(1)生物多様性と持続的循環型の環境保全を目指した地球生態科学、(2)人口の著しい増加に対処しうる生物生産科学、(3)ヒューマン環境科学や環境情報科学、(4)遺伝情報伝達に関与するゲノムと遺伝子に関する生命情報科学、(5)陸圏、水圏および気圏を含めた地球規模での環境モニタリング(リモートセンシング)が重要な位置を占めると考えられる。そのため、従来の理学、工学、農学および水産海洋学の知識と技術を統合し、地球生態科学、生命科学、地球観測科学等の新しい「地球環境科学」を構築することが求められている。地球生命圏の一員として未来を志向した思想を培い、新しい「地球環境科学」の教育ならびに研究を推進し、東海大学が希求する人と社会と自然が共生できる新しい文明社会の実現に貢献するための自由で活発な研究活動を積極的に推進することを目的に、大学院博士課程として本研究科を設置した。

本研究科は、21世紀の地球環境と人間社会に貢献し、ローカリティを重視しつつ、グローバル化とボーダーレス化に対応できる幅広い視野に立った国際的、学際的かつ学融的な考究力と豊かな創造性を備えた研究者、高度専門職業人を養成することを目標としている。また、研究者は人類の平和と福祉に貢献する義務を担うものであることを理解し、法令遵守の精神を尊び、厳正な研究倫理を培い、さらに、研究を通じて生み出された全ての知的財産を尊重すると共に、このような理念に基づく研究活動を教育に反映させ、社会の期待に応える人材の育成を目指す。

学位授与基準(研究科学位授与基準内規から抜粋)

本研究科は以下に定める能力を有していると認められる学生に博士の学位を授与する。

  1. (1)幅広い視野に立った国際的、学際的かつ学融的な考究力と豊かな創造性を備えていること
  2. (2)21世紀の地球環境と人間社会に貢献できる研究者、高度専門職業人となりうること
  3. (3)当該分野における独創的な研究を遂行できること
  4. (4)本研究科の学位論文審査基準内規に定める学術論文等の執筆が可能なこと
  5. (5)当該分野における国内外の学会等での発表、質疑応答が可能なこと

学位論文審査基準(研究科学位論文審査基準内規から抜粋)

学位論文等を提出し、学位授与の審査を受ける学生は公聴会において学位論文に関する発表を行い、論文審査を受けなければならない。

学位審査委員会は、下記の基準を満たしている場合は、学位申請論文を「合格」と判定する。

  1. (1)学位申請論文に当該分野における新規性が認められること
  2. (2)学位申請論文が当該分野における標準的な様式に則っていること
  3. (3)公聴会における発表の総合評価[別に定める基準(評価基準ルーブリック)の各要素の評価の平均]がC以上であること
  4. (4)学位申請論文を中心とした最終試験における質疑に適切に応答できること

各コースの概要

地球環境システム学コース

本コースは、21世紀の地球環境保全ならびに人類の持続的発展のための「総合的な」 地球環境学の確立を目標に、幅広い学問分野の知識と技術を融合し、予想される地球環境の変動が人類および地球生態系に及ぼす影響を中心に研究を行っている。本コースの研究領域は、(1)水圏・陸圏・気圏の生態系保全、生物多様性、自然環境修復技術等に関する環境生態科学、(2)生物の生命制御機構、バイオインフォマティクス、分子生物学やゲノムに関する環境生命科学、(3)環境画像情報、環境計測、環境物性やクリーンエネルギー論を中心とした環境情報科学、ならびに(4)都市環境デザイン、ヒューマンインターフェイス、MEなどのヒューマン環境科学などの分野により構成されている。

宇宙利用地球観測工学コース

本コースは、地球環境の変動機構の解明及び評価に資することを目的に、「地球環境変動のあらゆる現象を観測できる」研究拠点作りを目指す。北海道から九州に及ぶ東海大学が保有するリモートセンシング施設を集約・連合し、衛星による地球観測データおよび船舶等によるトゥルースデータを収集し、地球規模の気象から海洋、極域、地質、植生等の環境への影響評価を実施する。本コースの研究領域は、衛星観測を中心とし、かつ船舶観測等のトゥルースデータを伴った宇宙を利用した総合的な三次元地球観測システム工学であり、(1)衛星総合地球観測システム、(2)海洋観測システム、(3)地震・地殻観測システム、(4)衛星画像解析工学、(5)地球観測データベース、(6)大気・海洋・植生・地質・地殻・極域リモートセンシング工学などの各分野により構成されている。