看護学専攻(修士課程)

看護学専攻修士課程の教育理念

近年の少子高齢社会、人口減少の進展、医療および疾病構造の変化、家族形態の変化に伴い、保健医療福祉に関する社会のニーズは複雑化、多様化している。また、高度専門医療と保健医療福祉システムの変化は、看護のあり方に大きな変革をもたらした。さまざまな健康レベルにある人々への、より健康的な生活への支援に対する看護の役割と機能は広範囲となり、それぞれの看護分野において高度な専門性が必要とされている。さらに、複雑化、多様化する社会の要請に応えるためには、国際的な視野に立った学際的な保健医療福祉チームの構築が求められている。看護学専攻修士課程はこれらの社会的要請に応えられる教育として、実践の場に必要とされる高度の専門的知識・技術の習得、看護学の発展に寄与する研究能力の育成、国際的視野の育成、チーム連携調整能力の育成をめざすものである。このベースにあるのは高い倫理観である。こうしたさまざまな看護学分野に対する学修や研究のニーズに応えることができるように幅広い研究領域を設定する。

教育目標

  • 看護の高度専門化に対応する看護実践能力を育成する。
  • 看護学の発展に寄与するための研究能力を育成する。
  • 保健医療福祉に関する国際的な視野を育成する。
  • 研究や実践における学際的なチーム連携能力を育成する。
  • 高い倫理観に基づいた研究および実践ができる能力を育成する。

看護学専攻が育成しようとする人材

次の能力・態度をもつものとする。第一に、最新のケア技術や科学的根拠に基づいた看護を実践でき、エビデンスレベルを批判的に読解し、評価できる能力である。次に、ケアが提供されている組織をシステムとして分析し、ケア環境を改善できる能力も重視している。さらに、看護学の発展に寄与するための研究能力、保健医療福祉に関する国際的な視野、研究や実践における学際的なチーム連携能力、ならびに高い倫理観に基づいた研究および実践ができる能力を備えた人材を育成する。

こうした能力が身に付くように、看護学専攻の教育理念にもとづき、10の幅広い研究領域を設定している。

それぞれの研究領域の特色と総合大学であることの利点を活かし、学際的で豊かな教養を培うとともに、高度看護実践能力と研究能力を合わせ持ち、各看護領域の実践、教育および研究分野で活躍できる人材の育成を目指している。

教育の特徴

(1)専門性を深める看護研究領域の設定

保健医療関連技術のめざましい進歩により看護は高度専門化し、実践の場では高度な知識と技術をもつ専門看護職者が求められている。これに対し本看護学専攻は次の10の研究領域を設け専門性を深めている。

基礎看護学領域
看護の本質を理論的かつ実践的に探究し、専門職としての看護職の能力開発を目指した看護基礎教育および看護継続教育の知識の習得を目的とする。
産業・地域保健看護学領域
労働や社会経済状況に関連する多様な健康課題とその背景要因を把握・分析し、事業者や労働者との深い信頼関係を基盤として、適切な産業保健・看護活動を展開するための専門的技術の習得を目的とする。
健康支援科学領域
人々の健康を支えるための基盤となる専門知識と技法を習得し、それらを看護実践に結びつけ、展開する方法を追求し、開発することを目的とする。
遺伝看護学領域
遺伝学の知識や相談技術を修得し、遺伝学的な問題を抱える当事者や家族の理解と臨床場面での実践力を培い、さらに遺伝看護の方法を探究することを目的とする。
母性看護学領域
女性のライフステージにおける性と生殖を中心とした健康上の問題および女性を取り巻く社会状況とその動向に焦点を当て、そのヘルスプロモーションに必要な専門的知識と技術の習得を目的とする。
家族看護学領域
家族を看護の対象とし、家族が本来有する機能に関する専門的知識と、家族の健康とケア機能を高める援助技術の習得を目的とする。
老年・在宅看護学領域
高齢者看護及び在宅ケアにおける健康と生活の関連性を踏まえて、QOLの改善に向けた援助のあり方の探求と援助方法論の構築を目的とする。
精神看護学領域
医療福祉領域における精神保健上の諸問題の理解を深め、病院および地域における精神障害者のケアに必要とされる専門的知識と技術の習得を目的としている。
クリティカルケア看護学領域
クリティカルケア看護における高度な専門知識と臨床実践技能、及び援助方法の開発のための研究方法の習得を目的とする。
がん看護学領域
がん患者と家族の身体、心理、社会的諸問題に対する理解を深め、対象のQOLを高めるケアに必要な専門的知識と技能ならびに研究方法の習得を目的とする。

(2)専門看護師の受験資格に対応した教育課程の設定

本専攻では家族看護学、クリティカルケア看護学、老年看護学、がん看護学および遺伝看護学について、日本看護系大学協議会の高度実践看護師教育課程の認定を受けており、専門看護師(Certified Nurse Specialist ; CNS)を目指す学生に必要な科目を設けている。

(3)社会の要請に応える新たな看護を志向

看護に求められる業務の質と幅が急速に変化し、新しい看護分野の開発・発展が課題となっている。本看護学専攻では、全国で数少ない産業・地域保健看護学、家族看護学や、全国ではじめての遺伝看護学、人々の健康を支えるための基盤となる健康支援科学の研究領域を設定している。また、クリティカルケア看護学、がん看護学、老年看護学、基礎看護学、母性看護学、老年・在宅看護学、精神看護学の研究領域を開設し、多様な学生の学習・研究ニーズに対応している。

(4)総合大学の利点を生かした学際的教育・研究

同じキャンパスにある、医学研究科、健康科学研究科保健福祉学専攻はもとより、他の理系・文系の研究科との交流により、学際的な教育・研究を行っている。

(5)国際的視野を持った人材の育成

国際的な視野に立って地球と環境・人類の保健医療福祉を考えられるように国際看護を学ぶ科目が設けられている。また、それぞれの授業科目においてもグローバルな視点が強調されている。さらに本学の健康科学部が交流しているメイヨーメディカルセンター、ハワイ東海インターナショナルカレッジなどを活用することにより、国際的な視野とコミュニケーション力、及び先進的な知識・技術を育成している。