数理科学専攻(修士課程)

数理科学専攻は理学部の数学科と情報数理学科の上に設置され、数理科学のいろいろな分野の研究が、お互いに影響を与えながら行われています。代数学、幾何学、解析学、確率・統計、力学系、計算機数学などを専攻する数学コースと、グラフ理論、数理論理学、計算機統計学、情報科学などを専攻する情報数理学コースがあります。たとえば代数学の分野である整数論や代数幾何学が情報理論に使われたり、幾何学とフラクタルがコンピュータ・グラフィックスに関連したり、離散数学が生物の進化の秘密に迫ったりしながら、研究されており、その成果が教えられています。いずれの分野でも、専門基礎知識を身に付けるとともに研究とは何かを学び、独自の研究をする方法を修得するように配慮されています。

数学は数千年の伝統をもつ分野であり、他の自然科学のようにある時代に常識であったことが次の時代には否定されるということがないので、新しい発見はある意味では難しいといえます。しかし、それにもかかわらず近年の数学の発展は著しいものがあります。広い数学の世界では、修士課程の学生でも、自分で新しい発見をすることは可能ですし、それが重要な意味をもつこともあります。小さなことでも世界中で誰も知らなかったことを自分で見つけるというのは素晴らしいことではありませんか。あるいは数学と情報を融合した情報科学の世界でさまざまな発見や発明を行うことも素晴らしいことではありませんか。そのような発見を通して、研究するということを理解してもらうのが本専攻の教育方針です。

本専攻の卒業生たちは大学、高校・中学、企業の研究所、コンピュータ関連企業などの各方面で活躍しています。本専攻の特色として、理学部の数学科、情報数理学科の2学科のスタッフから構成されているために、純粋数学、応用数学、情報科学という広い方面の専門家がいることが挙げられます。そのため、たとえば純粋数学の方面で研究をしていてもコンピュータを気軽に使える環境があり、その方面の専門家の助言も気軽に受けられます。逆に情報科学や応用数学の研究をしていても純粋数学的な構造は至る所に現れますから、その方面の専門家と対話をすることは大変有益です。また、各分野ごとに「通論」という種類の講義を設けています。この講義は各分野の興味のあるトピックをその分野が専門でない学生にもわかりやすいように解説し、学生が数学・情報科学全体に対する広い視野をもてるように設けられたものです。このように、数理科学専攻は数学を考え新しい発見をする喜び、コンピュータで新しい世界を造る喜びを共に体験できる場所なのです。

数理科学専攻が養成しようとする人材

数理科学専攻では、現代数学の幅広い知識が身に付き現代数学の原理が深く理解できる教育、情報と数学の知識と洞察力および高度なITスキルが身に付く教育を行います。それによって、数学や数理科学の研究者、IT業界におけるプロジェクト・マネージャ、生徒たちに数学や情報の面白さを伝えられる教員など、数学的思考や数理的センスあるいは高度なITスキルをもとに社会に貢献できる人材を養成します。