応用理化学専攻の大学院生がニューダイヤモンドフォーラムで受賞しました

大学院工学研究科応用理化学専攻1年次生の石井一樹さん(指導教員=工学部材料科学科・葛巻徹教授)が、11月16日から18日に東京大学で開催された「第30回ダイヤモンドシンポジウム」(主催=一般社団法人ニューダイヤモンドフォーラム)でポスター賞を受賞しました。この賞は、同学会のポスターセッションで研究成果を発表した研究者のうち、32才以下で優秀な発表を行った個人に贈られるものです。

石井さんは、葛巻教授の指導を受けながら次世代の先端材料として注目を集めているグラフェンの新たな製造法に関する研究を行っています。グラフェンは2004年に発見された炭素原子からなる新素材で、厚さが原子一つ分しかなく、シリコンの100倍の電気伝導性と鉄の100倍の強度を持つなどこれまでにない性質を備えています。2010年には発見者であるアンドレ・ガイムとコンスタンチン・ノヴォセロフにノーベル物理学賞が贈られ、世界中で研究が進んでいます。現在、タッチパネルなどの透明電極はインジウムという希少金属を使って製造する方法が一般的に用いられています。石井さんはフラーレンという炭素物質を使って均質にかつ大面積にグラフェンを作り出し、透明電極に応用する技術を研究。今回の発表では、この方法を使って生成したグラフェンを従来の手法で生成したものと比較し、透過性や電気抵抗率に遜色がないことを発表しました。「この研究には、肉眼では見えないナノテクノロジーの分野で将来性の高い最先端の分野に取り組んでいるという魅力があります。新しい分野なので試行錯誤しながらさまざまな視点から結果を分析しなければならないのですが、材料科学科の授業で中心に幅広い分野を学んだことからヒントを得て考察することが多く、学部時代にしっかりとしたベースを身につけられたことがいま生きていると感じています。研究自体はまだ基礎段階なので、今後も条件を変えて実験を繰り返しその成果をしっかりと後輩に引き継ぎたい」と話しています。

ニューダイヤモンド_525.jpg