建築学科の伊藤准教授がシンポジウム「レオン―コルドバ:スペイン初期中世の芸術と文化」でコーディネーターを務めました

7月15日に、東京・千代田区のセルバンテス文化センター東京で開催されたシンポジウム「レオン―コルドバ:スペイン初期中世の芸術と文化」でコーディネーターを務めました。このシンポジウムは、スペイン・ラテンアメリカ美術史研究会が主催し、コルドバを中心にイスラム文化がイベリア半島で栄華を極めていた10世紀を舞台に、半島の北西部でキリスト教徒が開花させたレオン王国の文化を中心としたスペイン初期中世の社会・文化・芸術の魅力をひもとくことを目的としたものです。市民や研究者ら約70名が参加しました。

シンポジウムの冒頭では、伊藤准教授がイベリア半島における初期中世の概要を紹介。その後、佐藤健太郎氏(北海道大学准教授)が「ずれる暦と重なり合う文化 コルドバの暦から」の論題で、毛塚実江子氏(共立女子大学講師)が「浸食する境界線 イベリア半島10世紀の聖書写本挿絵再考」と題してそれぞれ講演しました。その後、伊藤准教授が「写る建築、移らない建築 10世紀レオン王国におけるコルドバへの眼差し」のテーマで、レオンに現存する修道院の遺構や当時の文献資料もとにした研究成果を紹介。これらの建築物はこれまで、イスラム教国内に居住していたキリスト教徒(モサラベ)がもたらした技術で建てられたとするのが一般的でしたが、詳細に検討すると、修道院を建築した権力者が装飾的な効果を高めるために当時のトレンドであったイスラム様式を「写した」ものである可能性が高いと指摘しました。

なお今年1月には、伊藤准教授の研究成果をまとめた著書『スペイン初期中世建築史論』(中央公論美術出版)が刊行されています。

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