卒業生が日本建築学会の優秀卒業論文賞を受賞しました

工学部建築学科を2017年3月に卒業した増澤水緒さん(指導教員=小沢朝江教授)が、2017年日本建築学会の優秀卒業論文賞を受賞しました。全国の大学から応募のあった卒業論文から15作品が選ばれるもので、建築分野では最難関の賞です。本学からはこの10年で7回受賞しており、小沢教授の研究室からは3年連続での選出となりました。

増澤さんの受賞テーマは、「伊勢神宮の式年造替における古殿・古材の撤下とその背景」。伊勢神宮では20年に一度、社殿を建て替える「式年造替」が行われていますが、その際に不要となる旧社殿(古殿)の木材を全国の神社などに下げ渡す「撤下(てっか)」という慣習があります。増澤さんはその撤下について、自治体史に掲載されている由緒書や新聞記事を読み込み、実際に下げ渡された神社や移築に関わった建設業者への取材を通して江戸時代から現在までの動向を調査。江戸時代には、ほぼ三重県内の神社だけに撤下されたいたものが、明治政府によって格式が高いとされた全国の神社にも送られるようになったことや、式年遷宮のたびに撤下される神社では社殿から門や鳥居へ再転用する慣例があることなど、撤下の歴史的な変遷や実像を明らかにしました。今回の受賞では、これまであまり注目されてこなかった古殿・古材に着目し、豊富な資料に基づいて論じた点が高く評価されました。

増澤さんは、「ゼミの仲間のレベルが高く、その仲間から刺激を受けながら研究できる環境があったことが今回の受賞につながったのだと思います。元々神社めぐりが好きでしたが、研究に取り組む中でさらに好きになり、新しい事実を知る楽しさを実感した1年間でした。ゼミでは月に2回、自分の研究成果を発表する機会もあるのですが、その中で論理的に発表したりする力も付きました。好きなことにこれだけの長期間にわたって取り組むチャンスをくれた先生には心から感謝しています」とコメント。小沢教授は、「卒業論文では、自分に合ったテーマが見つけられるかが大変重要だと思っており、テーマを設定するときには本人と話し合って決めるよう心がけています。過去3年間、どの学生も一生懸命で手を抜かない人がそろい、仲間同士が切磋琢磨しながら成長してくれたことが連続受賞につながったのだと思います。これからもそうした環境がつくれるよう指導していきたい」と話しています。

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