動力機械工学科の4年次生がフォーミュラカーを使った研究に取り組んでいます

工学部動力機械工学科の岡本高光教授と高橋俊講師のゼミに所属するが学生たちが、フォーミュラカーを使った研究プロジェクトに取り組んでいます。企業の開発現場を擬似的に経験し、チームで課題を発見して解決する力を養うとともに、蓄積した研究成果を本学科の学生が中心となって活動しているチャレンジセンターの学生フォーミュラチーム「Tokai Formula Club」のマシン性能向上の参考にしてもらおうという取り組みです。今年度は4年次生約20名が参加しています。6月2日には、今年度初のテスト走行を神奈川県秦野市にある株式会社日産車体のテストコースで行いました。

学生たちは、岡本ゼミの学生からなるシャシー班とエンジン班、高橋ゼミのWing Design班の3つにわかれて活動。学生のデザインで昨年完成したシャシーとオートバイ用の4気筒エンジンを組み合わせたマシンを使って研究に取り組んでいます。シャシー班はマシン性能を100%引き出せるシャシーの開発を課題に設定。Wing Design班はシミュレーションやミニチュアモデルを使った風洞実験をもとに、より低速でダウンフォースを生み出せるウイングの開発に取り組んでいます。エンジン班は、より早いラップタイムを出すための理想的なエンジン特性はどうあるべきかを考え、その特性を実現するための方策を研究。今年はその方法と、それを実現するための吸気系とカム特性の組み合わせの最適化を開発テーマに掲げ、シミュレーションで狙いを付け、それに即した部品の設計製作を行い実機エンジンテストで諸元の絞り込みを行う予定です。

テスト走行では、新たに取り付けた計測機器の動作確認を行い、コースがウイング性能の試験ができる環境であることを確認しました。学生たちは7月上旬をはじめ今年度8回程度の試験を行っていく予定です。

自身も自動車メーカーで市販車とレーシングエンジンの開発とコンセプトづくりに携わってきた経験を持つ岡本教授は、「企業が新しい製品を作る際には、その前の開発という工程がとても重要になります。その経験を在学中に積みながら、フォーミュラカーに関する基礎研究を蓄積してTokai Formula Clubが使える“技術の棚”を増やすことを目指しています。学生たちには、開発者に必要な本当の目的と課題を明確にし、“どう考えるから何を作る”というストーリーを考えるところを重視し、研究を積み重ねるプロセスを経験する中で、より実践的な力を身につけてもらいたい」と話しています。

【学生たちの声】
シャシー班リーダー・柴田真さん
1年次生から岡本先生のもとで車の勉強をしてきたので、最後までしっかりやり切りたいと思って参加しています。実際の車があることで机上ではわからないことを発見できるし、実践的に学べるのが面白いと感じています。本を買って調べたりする機会も多いのですが、それも将来の大きな財産になになると思います。

Wing Design班リーダー・前田峻宏さん
自動車のボディ周りの空力を調べる研究をしたいと思ってこのゼミに入りました。シミュレーションでは車体の振動や風の影響までは調べられないのですが、実車があるとより実際の開発に近いプロセスを踏んでいるという実感を持って取り組めています。またチームとして活動しているので、班内での議論や他の班との協力を通してコミュニケーション能力が必然的に鍛えられています。

エンジン班リーダー・佐藤京平さん
これまでの授業では、与えられた課題に取り組むことがほとんどでした。一方このプロジェクトでは、自分たちが何を作りたいのか、そのためには何が必要なのかを考えることが重要になるので、最初は難しさを感じました。その経験を繰り返すことで、自分の将来に生きる実力が身についていると実感しています。卒業までの間に「Tokai Formula Club」に生かしてもらえる成果を一つでも多く出すことはもちろん、現在開発している新しいカムシャフトを作り上げたいと思います。

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