光・画像工学科の虎谷教授と学生たちが学術研究船「白鳳丸」での研究航海に参加しています

工学部 光・画像工学科の虎谷充浩教授と同研究室の4年次生たちが10月17日から11月10日まで、独立行政法人海洋調査研究機構(JAMSTEC)の学術研究船「白鳳丸」を使った研究航海に参加します。これは、東京大学海洋研究所と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の委託研究プロジェクトが共同で実施している「海洋混合過程とその物質循環・気候・生態系に対する役割の統合的理解及び衛星・現場観測比較」の一環で行うもので、虎谷教授の研究室は西部太平洋上の大気中に飛んでいる物質(エアロゾル)や水中の光学観測を主に行います。

虎谷教授の研究室では長年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や学内外の研究者らと連携し、海の色を人工衛星で観測し、海洋中の植物プランクトン量(正確には植物プランクトンが持つ葉緑素「クロロフィルa」の濃度)などを推定する手法について研究しています。クロロフィルa濃度の推定は、地球から反射した光を人工衛星でとらえて行いますが、より正確な推定結果を得るためには大気中のエアロゾルの吸収や散乱の影響を知り、それを取り除くとともに、衛星での観測データと実際に海水中のクロロフィルa濃度の実測値を比較して精度を高める必要があります。今回の研究航海では、虎谷教授とともに三保谷稜さんと片野晃汰さんが「白鳳丸」に乗船してエアロゾルや水中光の光学観測に臨むほか、海水中の植物プランクトンの分析にも携わる予定です。また、米永有佑さんと小林季輝さんが同時刻に人工衛星で撮影した画像を処理し、湘南キャンパスから「白鳳丸」に比較データとして送る役割を担います。

学生たちは、「調査船に乗ること自体が貴重な機会ですし、船内での調査の進め方を学ぶこともできると期待しています。今後の研究に役立つ有意義なデータをぜひ採取したい」「さまざまな実験装置にも触れるよい機会になると思う。この分野のトップを走る研究者のほか、他大学の大学院生も乗船するので、同じ分野を学ぶ者同士でのつながりもつくれれば」と期待を寄せています。

虎谷教授は、「海中の植物プランクトンは海の生命の生態系のベースをなしているだけでなく、大気中に放出されて海に溶け込んだ二酸化炭素量にも大きな影響を与えています。正確な実態把握は、地球温暖化などの気候変動の解明の観点からも欠かせません。JAXAは今年度中に気候変動観測衛星「しきさい」(GCOM-C)という新しい衛星を打ち上げます。そのために有意義なデータを得たいと考えています。学生たちにとっては、またとない貴重な機会。今回の経験を通して大きく成長してほしい」と語っています。

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