第1回リポソーム研究会を開催しました

工学部生命化学科の金森審子教授が中心となって活動している「リポソーム研究会」が、11月22日に湘南キャンパスで第1回講演会を開催しました。本プロジェクトは、教員間の日常的な交流を促すことなどを目的に工学部が2015年度から実施している「工学部研究会」の採択プロジェクトの1つとして活動しているものです。今回は、リポソーム研究会メンバーの清水佳隆准教授と親交のある香川大学医学部の松崎高志助教を講師に招き「循環器疾患治療薬としてのリポソーム製剤開発とアカデミア創薬」と題した講演会を実施。学部生や大学院生、教員ら約20名が参加しました。

松崎氏らが、開発したヒトに投与可能な新規リポソーム治療薬に関して、研究過程の紹介がありました。新薬開発においては近年、大学レベルでの研究に動物実験のみによる成果だけでなく、より臨床に近い人体に投与した場合の効果や副作用などまでを考察することが求められる傾向が高まっていることを説明。松崎氏らが研究開発した心筋梗塞後心不全や劇症型心筋炎に使用するリポソーム製剤を例に、従来薬の課題であった副作用をリポソーム製剤化で改善したことや臨床試験用製剤としてヒトに投与可能なレベルでの製造方法を確立するまでの過程、今後の新薬開発の可能性について語り、「リポソーム製剤開発は現在、副作用が大きいとされる医薬用化合物の特性を改善させられる可能性を秘めています。研究がさらに世の中に役立てるように研究を進めたい。」と締めくくりました。

学生からは、「薬の研究開発では、試験管内での反応や動物実験で得られたデータを追っていくだけでなく、人体に用いる薬とするには製造方法も含めてどのように信頼性を確保するのかが重要であることをあらためて実感しました。」、「大学で研究された薬がヒトに投与できるようになるまでの過程や苦労を聞けて刺激になりました。研究へのモチベーションが高まりました。」といった感想が聞かれました。

第1回研究会 (1)_525.jpg

第1回研究会 (2)_525.jpg