工学部土木工学科4年次生がワイヤレス・アイデア・コンテストのアイデア賞を受賞しました

工学部土木工学科4年次生の幡野雅春さんと中村勇介さんが、「ワイヤレス・アイデア・コンテスト」のアイデア賞を受賞しました。NPO法人オープンワイヤレスアライアンスが主催する当コンテストは、誰もが安価で、自由に、しかも簡単に利用できるようになった3G通信技術を活用して新たな知的・創造的なアイデアをつくりあげる能力と技術を支援することを目的に開かれているものです。2回にわたる審査を経て、11月14日に東京・新宿区にある早稲田大学で開かれた最終選考に残った5組の中から特にアイデアに優れた学生が選ばれました。

幡野さんと中村さんは、「To-Collaboプログラム」の大学推進プロジェクト「安心安全」(代表=情報理工学部情報科学科・内田理准教授)の一環で工学部土木工学科・杉山太宏教授、梶田佳孝准教授の指導のもと取り組んでいる、丹沢山地大山地区の土砂災害に関する研究を「土砂災害における加速度センサーを活用した防災システム」と題して発表しました。日本で発生する自然災害の中で、土砂災害による犠牲者数が占める割合は、東日本大震災、阪神淡路大震災を除くと約40%以上になります。土砂災害の被害を防ぐには、地域住民に一刻も早く情報を伝達することが重要とされています。2名は土砂災害が起こる前に前兆現象があることに着目。この現象をもとに斜面崩壊を検知し、それを地域住民に瞬時に伝達する防災システム開発を目指しています。その内容は、加速度センサーを入れた椅子脚用のキャップを木杭頭部にはめ込み、それを丹沢山地大山地区の土砂災害危険箇所の沢や斜面に設置。加速度センサーが斜面の揺れを検知すると、自動的にそのデータが親機に送付され、親機はセンサー初期値との差分データをWebサーバーとあらかじめ登録したTwitterアカウントに3G回線を通じて送ります。その結果、サーバーではグラフ化されたデータが表示され、Twitterアカウントには揺れを検知したことが表示されるため、アカウントをフォローしておけば斜面崩壊の危険性を事前に知ることができる仕組みになっています。すでに市販されている斜面変異検知センサと比較すると15分の1程度というきわめて安価なコストで実現するため、より多くの自治体や個人でも利用することが可能になると期待されます。

主にシステム開発を担当した幡野さんは、「土木分野の研究に加えて地質学を学んだことがきっかけで、土砂災害の防災、減災に興味を持つようになりました。今回の応募にあたってC言語を学び、一からシステムを作り上げていきました。賞はIT分野にかたよりがちな3G通信技術を土木という新しい分野で活用したことと、通知方法にSNSを活用した汎用性が評価されたと思います」と語ります。土質研究を専門にしている中村さんは、「今回の研究では、危険警戒区域の調査を担当しました。事前に地図や過去の災害事例を元に危険区域を選択。実際に現地に行き調査、解析をしましたが、急斜面で足場が悪く危険な動物もおり、苦労の連続でした。地震による液状化に興味があり土砂災害に興味を持ち、この研究に携わっています。今後、丹沢大山地区の土質調査をいっそう進めて地域の防災に役に立つ成果を上げたい」と話しました。

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