「原子力の国際基準等に関する研修コース」を開講しました

東海大学では高輪キャンパスで2月16日から18日まで、大学生や企業の技術者らを対象とした「原子力の国際基準等に関する研修コース」を開講しました。国際原子力機関(IAEA)が定める国際基準を習得する機会として、文部科学省「平成25年度原子力人材育成等推進事業補助金」に採択された本学のプログラム「原子力国際基準等を基盤とした多層的な国際人材育成」の一環で2014度から開いており、原子力関連産業に携わる企業や団体、留学生を含む学生と大学院生約70名が受講しました。

開講式では、文部科学省研究開発局の髙谷浩樹開発戦略官が、「東海大学が中心となって作られた本コースは、画期的なプログラム。原子力に携わる人たちがしっかりと世界に目を向け、本コースで学んだことを将来に生かしてほしい」とあいさつしました。3日間にわたって行われた講義ではIAEAの専門家5名と本学の広瀬研吉教授(国際教育センター)が、IAEAの定める基準の歴史や概要、原子力の国際的な枠組みをテーマに講演しました。このうち16日にはドミニク・デラットレ氏が講義。1958年のIAEA発足以後における安全基準の変遷や複数の安全基準の分類、策定のルールなどを説明したほか、東京電力福島第一原子力発電所の事故へのIAEAの対応を解説しました。また18日の広瀬研吉教授による講演では「原子力の国際的枠組み―原子力安全に関する条約、原子力損害賠償制度及び原子力基盤整備について―」と題して、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故を契機に、原子力事故に対する援助に対する条約が整備されてきた経過や賠償制度の枠組みとその変遷を説明しました。

参加者からは、「安全基準の策定や施行にかかわっている人たちの講義を聞ける良い機会だった。現状の業務で定められている設計要求などが国際基準によるものだと知り、とても勉強になりました」「研修中、学生や社会人などさまざまな立場の聴講生同士が交流する機会があったのもよかった。国際的な原子力人材となる上で、学ぶことがたくさんあった」「過去2回も参加していますが、非常に有用でためになる研修コースだと感じています」といった感想が聞かれました。

本コースは今年度をもって文科省の採択プログラムとしての取り組みを終えます。原子力工学科主任の伊藤敦教授は、「本研修は、それまで国内ではかならずしも関心が高くなかった国際基準をしっかりと学ぶ機会を設けることを目的にスタートとしました。これまで多くの人に参加していただき、将来の日本のあり方を考える上でのよいきっかけづくりになったと考えています。近年では国内でも大学生がIAEAを訪問する研修プログラムがスタートするなど、国際基準へのニーズは年々高まっています。今後もできる限り、最新の国際情勢や専門家の講義を聞ける機会を提供していきたい」と話しています。

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