教育研究上の目的・人材像

わが国の社会は、今やとても「豊か」になったと言われている。しかしながら、全ての人々が豊かに、何の不自由もなく生活しているとは限らない。むしろ、現代社会における急速な人口の高齢化、その一方での少子化等により派生する様々の問題が多くの社会の人々の関心をひいている。また、価値観の多様化等に伴い、家庭内の不和や家庭崩壊も増えた。一方では、病気や身体的、精神的あるいは知的な障害があるゆえに、不自由な社会生活を余儀なくされている人もいる。職を失うなどの理由で生活費に不自由している人もいる。このように様々な生活上の困難を抱えて援助を必要としている人々が多くいるのが現実である。また、海外の発展途上の国々に目を転じると、毎日何万人という子どもが飢えや不衛生のために生命を失っている。これらの現実から目をそらすこともなく、共感的に理解し、かかわることが求められている。

社会福祉活動は、日々の生活において一人の人間として、何の不安や恐怖なしに、心豊かに生活を送り、自己実現できるように、必要なサービスを展開し援助することを目指している。その活動は、個人、家族、地域を対象に、家庭、施設、病院、相談機関など、多様な場で展開される。また、制度・政策の整備、経済的援助から心理的援助までと幅広い。社会の援助システムを考えたり、地域の支援ネットワークを作り上げたりして展開することも必要である。さらに、社会の変化に伴って生ずる新しい課題や福祉ニーズにも積極的に取り組まなければならない。

人は誰でも、たとえ性別、年齢、民族、文化、宗教等の違いがあるとしても、一人の人間としての尊厳を保って、社会生活を送りたいと願っている。このことを実現するための担い手の育成は現代社会の要請でもある。

社会福祉学科における教育研究の理念・目的

ヒューマニズムと科学の融和、自然と人間の調和をめざし、人道主義の理念のもとに、健康で生きがいに満ちた福祉社会の実現に向けて、現代の社会福祉を巡る生活課題を明らかにし、これらの諸課題に対応する具体的政策や理論と実際を修得する。福祉現場で有用な複数の資格養成を図る中で、暖かい人間性と幅広い教養を身につけ、現代の多様化するニーズに対応できる幅広い知識を持ち、実証的能力とコミュニケーション能力をあわせもった、国際的視野も有する、実戦的能力に富む人材を育成する。

実践的能力に富む社会福祉従事者の養成

以上を踏まえ、本学科では、現代の社会福祉を巡る生活課題を明らかにし、これらの諸課題に対応する具体的施策や社会福祉実践方法の理論と実際を教授していくことをとおして、次のような、実践的能力に富む社会福祉従事者の育成を、医学部、看護学科との協力の中で図っていくことをその教育目標としている。

(1)暖かい人間性と幅広い教養を身につけた人

人々の生活上の諸課題に的確な支援を行っていくために、まず幅広い教養を身につけ、これに裏付けられた豊かな人間性を涵養し、広い視点でものを捉え、自己を点検できるような成熟した人間形成を目指す。

(2)現代の多様化するニーズへ対応できる、幅広い知識をもった人(福祉と保健、医療の連携)

現代社会における福祉ニーズは、量的に拡大すると共に、質的にも多様化しており、これに対応していくために、専門的知識、技術を習得し、ニーズに対応した適切な視点から、人々の生活をとりまく社会の状況を分析し、主体的、創造的に援助を展開できる能力を養う。また、医療・保健・福祉の各種サービスが、多面的かつ時系列的に総合的対応を求められるようにもなってきており、こうしたトータルな対人援助活動に参加していけるような能力を養う。

(3)実証的能力とコミュニケーション能力をあわせもつ人(問題解決能力)

社会福祉の役割、機能の拡大に対応していくために、各種の福祉ニーズの把握と援助活動の基本となる対人コミュニケーション技能を習得し、科学的な根拠に基づく実践的な福祉援助能力を養う。

(4)国際的視野をもった人(国際的な分野での活躍)

国内だけにとどまらず、国際的な視野をもって、最新の理論や技術の習得に励み、かつ必要とされる海外にも出向いて活躍できる能力を備えた専門職を育成する。

社会福祉学科が養成しようとする人材

社会福祉学科では、現代の社会福祉を巡る生活課題を明らかにし、これらの諸課題に対応する具体的施策や社会福祉実践方法の理論と実際を教授していくことをとおして、(1)暖かい人間性と幅広い教養を身につけ、(2)現代の多様化するニーズに対応できる幅広い知識を持ち、(3)実証的能力とコミュニケーション能力をあわせもち、(4)国際的視野も有する、実践的能力に富む人材の養成を教育目標としている。

養成する資格

教育目標を実現するために、以下の資格の養成を図る。

  1. (1)社会福祉士(受験資格)
  2. (2)精神保健福祉士(受験資格)
  3. (3)介護福祉士(受験資格 1学年定員30名)
  4. (4)社会福祉主事等
  5. (5)高等学校教諭1種普通免許状(福祉)

いずれの資格についても、別項において詳細を説明しているが、社会福祉学科を卒業すること(卒業要件を満たすこと)と共に、各資格の根拠法令に基づく所定の科目の履修が必要となる。各学期の履修登録時に留意すること。

教育方針

(1)臨床実践力の育成

現代の社会福祉は、多くは公的な制度として確立されている。従って、社会福祉のあり方を探究していくことは、最終的には、制度や政策をどう変えていくのかということに繋げられていかなければならない訳であるが、そのためには、日常生活上の諸課題を抱えた人々のニーズ(問題の実体)に対する日々の援助(実践)の成果を積み重ねていくことが必要である。このことを踏まえ、カリキュラムにおいて臨床実践に即した多様な選択科目を設定しているほか、各授業科目は、単に制度やその概要を理解することのみにとどまらず、問題の実体やこれに対する援助の方法を探究する。

(2)演習、実習の重視

上記を方針を踏まえつつ、段階的に、多様な演習、実習の履修を進め、対人援助の実践的能力を身につけていく。

演習は、「社会福祉基礎演習1(A、B)」「社会福祉基礎演習2」「社会福祉専門演習」「相談援助演習A」「卒論演習1」「卒論演習2」「卒業論文・卒業研究」を必修としたほか、各種の実践演習を開講する。

実習は、「社会福祉実習入門」を下記のような各実習科目の被先修科目とし、各種の資格取得、研究テーマ、就職希望等との関係も考慮しながら履修を進めていくことができるよう、「社会福祉現場実習(A、B1、B2、C1、C2)」「精神保健福祉現場実習(1、2)」「介護福祉現場実習(1~4)」「社会福祉専門実習」を開講する。

(3)表現能力、コミュニケーション能力の重視

「ものを見る」「人に伝える」「自分を現す」など、観察や記録の方法、コミュニケーション技法等対人援助を行う社会福祉専門職としての基礎的な能力の醸成を図る。

具体的には、「音楽と表現」「身体と表現」「演劇と表現」「造形と表現(A、B)」等の科目を設定する。

(4)情報処理教育の重視

社会福祉の学習を進めていくために、実体を把握していく社会福祉調査をしていくためにも、社会福祉のサービス提供や運営管理をしていくためにも、現代においては、コンピュータを活用しての情報処理能力を身につけること重視する。

具体的には、「保健福祉情報科学1」を必修として設定している。

(5)語学教育等基礎教育科目の重視

幅広い教養を身につけ、豊かな人間性を涵養する基礎的な教育科目を重視する。

特に本学科では、科目の選択幅を広くし、選択外国語の履修等をとおして、多様な内容を修得することを期待している。

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