教養学部芸術学科デザイン学課程がワーキンググループ成果報告会に参加しました

教養学部芸術学科デザイン学課程の学生が、3月15日に神奈川県川崎市のNEC玉川クラブで開催された「CIAJデザイン委員会ワーキンググループ成果報告会」に参加し、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)デザイン委員会との研究共同プロジェクト「認知症800万人時代に向けて認知症理解と社会で自分らしく暮らし続けるためのIoT利活用研究」の活動を報告しました。

CIAJ加盟会社のデザイナーによって構成されるデザイン委員会は、これからの時代の「情報・通信・ネットワーク」を主体としたコミュニケーションの本質を、デザインの視点から考え追及することを目指しており、昨年9月に本課程と芝浦工業大学がそれぞれに研究共同プロジェクトを立ち上げました。本課程が取り組んだ研究は、モノとモノがインターネット上でつながるIoT(Internet of Things)技術を活用して、認知症予備軍(MCI)、若年性認知症と軽度認知症の人の生活を支えることを目的としたもの。本課程のプロダクトデザインやインテリアデザインを専攻する2、3年次生の有志13名が参加し、富士通やNEC、沖プロサーブなどのデザイナーからデザイン思考や人間中心設計(HCD)の最新の手法を学びながら取り組んできました。学生たちは毎週月曜日の放課後に集まって活動し、当事者の声を聞こうと3回のワークショップを実施。日本初の認知症当事者団体である日本認知症ワーキンググループ共同代表の中村成信さんと佐藤雅彦さんにそれぞれ話を聞いたほか、川崎市の介護施設を訪問するなどして認知症に関する勉強を重ねてきました。

報告会ではまず、芝浦工大が「ものがたりの要素を活かしたサービスのUX」について発表しました。続いて本課程の山崎正人非常勤講師が、自身の専門とする認知症の概要や今回の研究の内容を紹介したあと、学生たちが3グループに分かれて成果を報告。レッドチームは、メガネの弦の部分に埋め込んだセンサーで脈を測って心身の状態を把握し、胸元やカバンにつけたブローチやストラップに表情のマークを表示して認知症患者が困っていることを伝える「シンクリン」を提案しました。ブルーチームは、マタニティーマークのように医療機関が配布するバッチを考案。「認知症や日常生活に不安がある人は困っていることや自分にできることを事前にアプリに登録し、バッチを見た人はスマートフォンなどのアプリを開いてその内容を知り、困り事にそって助けることができる」と紹介しました。イエローチームは、スマートフォンの通信機能を利用したアプリ「Connection Drop」を考案し、「道がわからない、体調が悪いなどの選択肢をクリックすると、近くで対応してくれる人の名前やレビューが表示され、直接電話でたずねることができる」と、ペーパー・モックアップを使って紹介しました。

約半年間の活動を終えた学生たちは、「企業の方々の知識や経験を教えてもらいながら取り組めたことは、将来だけでなく、大学生活でも役に立つと思います」「学生同士でも意見をぶつけ合い、新しい考えを生み出していく楽しさをあらためて感じました。総合大学の強みを生かしてほかの学部の学生とも共同で研究・活動する機会をつくりたい」と話しました。指導にあたった戸谷毅史教授(教養学部長)は、「学生たちには最後の結果ではなく、そこにいたるまでのプロセスが大事だということを感じてもらえればと思っていました。プロが用いる最新の手法を見聞きしながら半年間の濃密な時間を過ごせたことは、今後につながるいい経験になったはず」と語り、山崎講師は、「人間中心設計のプロセスを繰り返すことで、当事者のみに視点を当てていたアイデアが認知症の人に優しい社会づくりを意識したアイデアに変化していきました」と学生たちの成長を感じていました。

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