電子情報通信学会の研究会で学生らが研究成果を発表しました

6月14、15日に東北大学災害科学国際研究所(仙台市青葉区)で開催された電子情報通信学会「安全・安心な生活とICT研究会」で、情報通信学部の宇津圭祐講師(通信ネットワーク工学科)の研究室に所属する阿部りえさん(4年次生)と、大学院情報通信学研究科の尾形秋生さん(情報通信学専攻修士課程1年次生)が、研究成果を発表しました。

阿部さんの発表テーマは「Twitterを利用した見守りシステムの試作」です。これは、行政による広報や日常の注意情報がTwitterを用いて発信されるようになり、スマートフォンを使って日常的にサービスを利用するユーザーの高齢化が進んでいることを背景に開発を進めている「見守りシステム」です。「T-c@re」と名付けられているシステムは、行政側が情報提供と同時にユーザーの体調などを問う質問項目を配信。ユーザーは当てはまる回答をTwitterで発信し、それを行政や支援者が確認して、ユーザーの健康状態や有事の際に安否を確認するものです。

阿部さんは、「多くの人を前に発表するのは緊張しましたが、大変貴重な経験として今後の研究の大きな糧になると思います」と振り返りました。「研究を通じてさまざまな人たちと交流できたことがうれしく、やりがいも感じました。今後は、T-c@reを一般の人々に利用していただけるように地元自治体と協力して、より安心安全なまちづくりに貢献していきたいです」と抱負を語っています。

また、尾形さんは「Twitterを用いた災害時安否確認システムの構築と通信インフラ不能時利用への展開」をテーマに発表。地震などの災害発災時にユーザーが安否情報を投稿する際に、より簡単な操作で救助などにも活用できるフォーマットで投稿できるシステムについての研究成果を報告。併せて通信インフラが使えなくなった場合に、臨時の無線ネットワークを構築できるマルチホップ無線LANの試作についても紹介しました。

学生たちを指導する宇津講師は、2名の発表について、「自分たちの取り組みの成果を専門的な知識を持つ多くの人の前で発表し、質疑応答を経ることで、自分たちの研究をより発展させる経験ができます。大学の授業や実験だけでは得られない貴重な機会であり、学生たちにとって将来、必ず役立つと考えています」と評価。「これらのシステムは現在、高輪キャンパスの学生の協力を得てテストを実施している段階です。今後は、地方自治体と住民の方々の協力を得て、実際に運用してみたいと考えています。現在、高齢者のみの世帯への連絡や健康状態の把握は、地域の民生委員による電話連絡や戸別訪問で実施されているようですが、それだけでは進行する高齢化に十分ではなく、対策が追いついていないのが現状です。本システムが一般的に利用できるようになれば効率的に見守りが実現できて、大きな社会的効果につながると考えています」と話しています。

また、今回は宇津研究室が参加している、To-Collabo大学推進プロジェクト「安心安全」の研究成果について、内田理教授(情報理工学部情報科学科)も発表。Twitterを用いて災害情報を報告するシステム(DITS)に関する研究について、実際に地域での防災訓練で用いられた例などを紹介しました。

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