タイ王国・モンクット王トンブリ工科大学と情報理工学部生がワークショップを行いました

情報理工学部では8月24日から28日まで、タイ王国・モンクット王トンブリ工科大学(KMUTT)との合同ワークショップを開催しました。本学とKMUTTとの交流を深めるとともに、相互の研究成果について情報を共有することなどを目的に、高雄教授とKMUTTの教職員が共同で申請した外部予算を得て、初めて企画したものです。KMUTTの学生を湘南キャンパスに招き、本学部の学生と「高齢化社会と科学技術」をテーマに講演やグループディスカッション、そして実験に取り組みました。

ワークショップは2部に分けて行い、24日の第1部ではKMUTTのSakol Teerawaranyou教授による基調講演を実施。高齢者の知覚・認知の特徴と高齢化社会に向けたユニバーサルデザインのあり方が語られました。その後、学生たちは少人数のグループに分かれて「高齢化社会と科学技術」について議論し、まとめた内容を発表しました。それぞれ創意工夫を凝らした技術的な提案で、会場は大いに盛り上がりました。

25日から28日までの第2部では、情報科学科の高雄元晴教授が「生体機能の計り方とわかること」をテーマに講演。高雄教授の研究室の学生たちが、ヒトの知覚・認知機能を評価するのに多用される脳波の記録法や解析法を、実習形式でKMUTTの学生に教えました。また、実習で学んだ技術をもとに、高齢者の認知機能の特徴に関する実証的な実験と解析を実施。学生を被験者として、Sakol教授が開発した白内障を体験できる特殊な眼鏡を装着した場合と、装着していない場合においてどの程度、作業効率と集中力が低下するか定量的に測定し、統計学的に結果を比較。得られた情報をもとにグループに分かれて、データ解析法の考案や結果の解釈について議論し、発表しました。

学生たちは白内障が進んでいない場合、集中力が持続しにくいことの主たる原因は、物が見えにくくなることではなく、光が目の中に十分に入ってこないことによる覚醒水準の低下にあるのではないかと発表。これに対し高雄教授は、「眼球の網膜において概日リズムを同調させる細胞の分光感度特性を考えるとそれもありうる」と話しました。

KMUTTの学生は、「今まで知らなかった脳波について勉強でき、しかも実際に実験をして、結果について議論できたことは、自分にとって大きな糧になると思います」と話しました。本学の学生からは、「ワークショップを通じて交流を深められて、よい刺激になりました」という声が聞かれました。ワークショップの企画などを担当した高雄教授は、「昨年度、KMUTTの客員教授として招聘され、講義や実習を受け持ちました。そのとき、彼らと本学学生と共同で研究に関するワークショップを開催したいと考えたのが今回の取り組みのきっかけです。今回は1つのテーマしか取り上げられませんでしたが、次回以降は、複数のテーマも扱いたいと考えています」と語りました。

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