法学部の教育研究上の目的、養成する人材像

1.法学部の「研究教育上の理念・目的」および「人材養成目標」

法学部は、本学の建学の精神と研究教育理念を実現すべく、隣接諸科学との連携と国際性を重視した法学研究教育を通して社会に有為な人材を養成することを理念として、1986年に設立されました。そして、今日までこの理念に基づいて法学教育を実践して来ましたが、この間、社会と学生の変化とニーズに対応するために、教育カリキュラムの見直しや修正も積み重ねて来ています。

(1)法学部の人材育成目標

法学部はこの理念に基づいて、法学的な素養と能力を生かして自分自身の人間的な成長と発展を遂げると共に、その活動を通して自分が所属する団体や企業ならびに地域社会の発展、ひいては日本および国際社会の発展に寄与しうる人材を養成することを目標としています。

もう少し具体的に表現しますと、次のような人材像が育成目標です。

  • 卒業後に各自が所属する企業・団体・地域社会において、法学的素養およびリーガル・マインドに基づいた提案や問題の処理ができる人材
  • 人間の尊厳と人権の尊重を基調とする現代の社会で責任をもって活躍できる自立した人材

法は社会の基礎ですので、今日の社会・国際問題の多くは法律学の問題としての一面をもっています。純粋な法律問題はもちろんのこと、一見法律問題とは無縁のような社会問題や経済・財政問題も法律学的視点からアプローチできるのです。そして、法を学ぶということは、法の理念や正義を学びながら、このような複雑な社会の現状や問題に対して、訓練された法学的思考(リーガル・マインド)に基づいて分析し、問題解決の糸口を見つける能力を養うことを意味するのです。

社会は法律関係で成り立っています。そのため法学部の卒業生には、それぞれが属する企業・団体・地域社会において、法学学的素養・リーガル・マインドに基づいた提案や問題の処理ができることが期待されています。また、社会は個人の集合体ですが、そうであるからこそ社会の構成員である個人は他人と自分を大切にできる人でなければなりません。私たちは、このような認識のもとに、今日の社会で活躍できる素養を備えた自立した人材の養成が大学教育の使命の一つであると考えています。東海大学法学部は、これらの社会的要請にこたえるために、上記のような人材を養成することを目標としています。

(2)授業で育成する力・スキル、カリキュラム・マップ

法学部では授業で養成する力・スキルとして次のものを掲げています。それぞれの授業で培うべき力・スキルは別にカリキュラム・マップで示しています。そこに示された力・スキルを培うことによって、最終的には法学教育を通した人材の養成の教育目標が達成されると考えています。

法律専門基礎力
法律学習の基礎となる専門科目に関して、基礎的な事柄を理解し、説明・解説できる。
発展的な(法律)知識
特定の法律学の専門分野に関して、その分野の知識を理解し、説明・解説できる。
分析・展開力
特定の法律学の専門分野に関して、その知識を活用して、社会の諸問題を法律学の視点から分析し、問題点を理解し、説明・解説できる。
多元的・総合的考察力
ひとつの法分野だけではなく、複合的・総合的な視点から問題にアプローチできる。
グローバルな視野
グローバルな視野から、国際法や外国の法制度を考察することができる。
対話・プレゼン テーション力
法律問題に関する議論を理解・整理できるとと共に、自分なりの解決策を提示できる。また、その解決策や自分の考えをプレゼンテーションすることができる。

2.法学部の教育システムの特徴

法学部では、皆さんの法学学習ができるだけスムーズに進むようにするため、たとえば次のような工夫をしています。

(1)法律専門科目の自由履修

法学部の法律専門科目には必修科目(その単位を修得しないと卒業できない科目)は4科目(計8単位)しかありません。それらは法律の学習を始めるにあたり基礎となる科目ですが、それ以外の科目は全て選択科目です。したがって、皆さんは自分が学びたいこと、自分の将来の希望や目標にあわせて4年間の学習計画を立て、自分で自分の大学生活を設計することができます。これは一人ひとりの個性、長所、関心、目標と自主性を大切にするということですが、同時に、前述の責任をもって活躍できる自立した人材の養成という法学部の教育目標達成にも寄与するものと考えています。皆さん一人ひとりが個性的で自由な大学生活の設計をすることを期待しています。もっとも、何の手がかりもなければ学習計画の設定も困難ですので、指導教員による相談・指導や履修相談会の実施などのサポート体制を整備しています。

(2)法学導入教育および基礎教育の充実

社会で生じる様々な法律問題は全て応用問題です。そして、応用問題に対処するには、なによりもまず法律学の基礎を修得する必要があります。基礎から積み上げていく学習は大変ですが、その手助けとして、法学導入教育の実践と充実を図っています。そのような科目として、現代文明論2(必修)、法学基礎演習1(必修)、法学基礎演習2のほか、法律キャリア・プランニング、日本法入門、刑事法入門(必修)、法学方法論、国際関係法概論などを用意しています。また、第3セメスターになってから履修する科目にも、法哲学入門、商法入門といった科目を設けています。

(3)専門演習科目の充実

基本的な学習をベースとして主に法律学の応用問題に取り組むために、専門演習を用意しました。ここでは限られた数の学生が参加する少人数教育が行われます。専門演習は1から4まであり(計8単位)、第5セメスター以上の学生が履修することができます。この専門演習については、同一の教員による専門演習を1から4まで一貫して履修することになっています。専門演習では履修者による研究発表や討論を中心とした授業が行われ、資料調査能力、レポートや論文の作成能力およびプレゼンテーション能力など履修者の多様な能力の養成が図られます。なお、専門演習4の履修者は、原則として、卒業研究レポートの作成を求められます。

(4)発展的・横断的科目としての主専攻発展科目の導入

皆さんの将来構想は多種多様だと思いますが、相当数の法学部生が各種公務員試験や国家試験の受験および法科大学院等への進学を考えていることと思います。そこで、基本六法科目や行政法科目については、そのような学生のニーズに対応できる科目数を主専攻科目に用意しています。もちろん、それらの科目のほかにも社会人の基礎として必要な多くの科目を用意しています。さらに、主専攻科目とは別に、主専攻発展科目として自己形成科目(科目区分Ⅴ)に発展的・応用的な科目を9科目(計18単位)設けています。主専攻科目で用意されている科目を履修した上で、より広い視野をもって深く専門的な領域を学ぶことや分野横断的な領域を学ぶことを期待してのことです。より進んだ学習をするために、活用してください。

(5)他学部科目の履修および副専攻

大学全体の制度として自己形成科目(科目区分Ⅴ)という区分が設けられ、法学部以外の他学部の開講科目(主専攻発展科目を含む)を履修し合計42単位まで卒業単位として認められるようになっています。すなわち、皆さんは幅広い学問分野から自分の学びたいことが学べるようになっています。特定の学科の授業を副専攻として履修するのもその一つですが、それ以外にもたとえば資格試験対策として、法学部で開講されていない受験科目が他学部で開講されているときに、それを履修するという方法もあります。総合大学としての利点が発揮される制度です。この制度を活用して、それぞれの実力を伸ばしてください。

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