教育研究上の目的・人材像

教育方針と教育目標

1. 文明とは何か?

「文明」とは何か、ということを考えるとき、考察する立場や視点によって様々に定義することが可能です。しかし、さしあたってヨーロッパ文明学科では、「文明」とは、政治、経済、科学技術、軍事、宗教、文化、その他人間の様々な力の総体(統一体)であるととらえます。ヨーロッパ文明は、ヨーロッパ地域において長い歴史的なプロセスをへて形成され、固有の力を結集すると同時にそれ自身の個性と多様性を力強く展開し、そして今日においてもなお世界の中で、政治的、経済的、文化的に、そしてその他の領域において、きわめて大きな力を発揮している人間の力の統一体なのです。ヨーロッパ文明学科では、単に歴史や政治や文化などをばらばらに考えるのではなく、人間の様々な力の総体(統一体)としてのヨーロッパ文明の構造や特色を的確に捉え、理解し、そしてそのことによって今度は私たち自らの文明・文化のあり方へに対する理解、豊かなまなざし、そして批判的な思考などを育むことを目指しています。

2. ヨーロッパ文明を見る4つの枠組み

このような、高度に結集した様々な力の総体としてのヨーロッパ文明を考えようとするとき、具体的には大きく4つの視点からアプローチすることができます。これがヨーロッパ文明学科の教育方針・教育目標の主要な柱を構成します。

まず文明としてのヨーロッパが、どのようなプロセスをへて形成されてきたのか、ヨーロッパの伝統とはどのようなものか。古代ギリシア・ローマの伝統や中世キリスト教の文化などに触れながら、ヨーロッパ文明の基盤となる文化的な叡智の力を理解することを目指します。

次に、ヨーロッパ文明は人間の様々な力の結集した総体であると同時に、その内部に豊かな多様性を包み込んだユニークな文明でもあります。そこには数多くの国々や民族、言語、文化、習慣が含まれています。このような多様性こそが、文明としてのヨーロッパの大きな力を構成しているのです。この驚くべき文化的多様性について知ることがヨーロッパを理解するうえでとても重要なのです。

さらに、文明としてのヨーロッパは、豊かな多様性を育みながらも、近年になって政治的、経済的、文化的な力を、国家を越えた大きな統一へ向けて前進させています。ヨーロッパ統一の理念は、グローバル化する現代社会において、人間の発展のさらなる可能性を実現する試みとして注目されています。こうした動きを敏感にとらえ、同時にその根底にある民主主義や人権の思想などを学ぼうとすることは、ひるがえって私たちアジア世界の今後の道筋にも何らかのヒントを与えてくれるかも知れません。

最後に、文明としてのヨーロッパを何にもまして世界の主役・推進役としているのが、ヨーロッパの生み出した近代文明の原動力です。これは人間の力の総体としてのヨーロッパ文明のなかでも、最も強く、最も大きな影響力を世界に波及させているものです。近代の科学や技術、諸学問、政治的・思想的諸理念、経済システム、さらには軍事的な領域に至るまで、ヨーロッパ近代の原理が生み出したものの大きさは計り知れません。いまやこの近代文明の原動力を理解することなく文明としてのヨーロッパを考えることはできないのです。しかしながら、植民地問題、南北問題、戦争や核兵器、環境破壊、人間の疎外など、数多くの深刻な問題を生み出したのもまた近代文明なのでした。文明の力が生み出してしまうこうした諸問題を何よりも批判的にとらえ、自分なりの考察を試み、そうすることで、ありうべき人間の文明の未来の姿を考えようとすること、これは今日きわめて重要なことであると言えるでしょう。

3. ヨーロッパ文明学科が養成しようとする人材

上記のような基本方針を踏まえたうえで、ヨーロッパ文明学科では、次のような人材を育ててゆきたいと考えています。

  1. 1.ヨーロッパ文明に重点的な基礎を置いた知的素養を持つ
  2. 2.グローバル化する世界に対応できる国際感覚を持つ
  3. 3.ヨーロッパの諸言語の能力に裏打ちされたコミュニケーション能力と国際性を兼ね備える
  4. 4.ヨーロッパと日本の二つの文明に足場をおいた批判的な意識を持つ

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