医学部を知る5 先進的な研究

医学部は学びの場であると同時に、最先端医療を支える研究の場でもあります。この研究の分野においても東海大学の独自性が活きています。ここでは、実際の研究事例も含めてその特徴を紹介します。

Point.1 新しい研究分野にチャレンジできる自由度の高い研究体制

【画像】研究ユニットの相関イメージ

DNAの二重螺旋構造の発見など、医学の分野では新たに“分かった事実”が増えると、同時に“分かっていない領域”も追加されていきます。研究対象となる領域や範囲は年々広がっているのです。
また、近年では研究領域や利用技術は相互に交差するケースが増え、旧来の縦割り型組織構造の研究体制では最新テーマに関する研究に対応しきれなくなっています。
様々な背景を持つ研究者や技術者同士が1つのチームを組み、知識の枠を集めて取り組むという新しい研究スタイルが求められている現在、東海大学医学部、大学院医学研究科、付属病院では、学系や診療科という枠にとらわれずに研究ができる体制として「ユニット制」を採用しています。

研究者はテーマごとに「研究ユニット」という単位のチームを構成します。個々の研究ユニットは相互に並列の関係にある自由な存在で、そこにはかつてのような固定的な組織の枠は存在しません。学生は自らの興味と意思の赴くままに各自のテーマに挑戦できるのです。
このような新体制は、旧来の講座医局制の廃止によってもたらされた成果であり、学際領域研究や国際協力などにおいても、その自由度が活かされています。

Point.2 研究内容に合わせてユニット間を移動可能

ユニット制の具体的な仕組みについて、例を挙げて説明しましょう。

【画像】ユニット間を移動するイメージ

ある学生が新たな研究テーマを発見し、2年をかけてその分野に取り組むとします。
初年度、学生はまず研究指導教員の下で必要要素の抽出と、アプローチおよび検証方法の検討を行います。その結果、約200の研究ユニットの中から自分のテーマに最も関連の深い研究を行っている「A」への参加を決め、そこで基礎的な情報を習得します。年度末には研究指導教員と成果を共有し、来年度の方針を調整・決定します。
第2年度になると、学生は初年度に「A」で得た基礎情報を基に、別の研究ユニット「B」に参加してさらに研究を進めます。また同時に、研究ユニット「C」にも席を置いて検証作業を開始。2つの研究を同時に進める大変密度の濃い1年となりますが、「目標実現のためには必要な事」と覚悟を決めて臨みます。
この例のように、ユニット制においては学生一人ひとりが、学系や診療科にとらわれず自分の研究テーマに近いユニットを自由に選択し、独自の研究を進める事ができます。また、教育・研究支援センターによる実験などの協力も得られます。

Point.3 東海大学が取り組む先進的な研究事例

東海大学では実際に様々な新しい研究に取り組み、非常に大きな成果を挙げています。
約200ものユニットによる膨大な種類の研究発表の中から、ここでは代表的な成果として2つの事例をご紹介します。

1. ゲノム解析から疾患を特定

ヒト複合形質の遺伝要因とその制御分子探索

DNA構造が発見され、ヒトゲノム解析がスタートしました。こうした取り組みの中で様々な発見がなされています。東海大学でも、文部科学省の「21世紀COE(センター・オブ・エクセレンス)プログラム」としても採択された「ヒト複合形質の遺伝要因とその制御分子探索」などの取り組みによって、様々な実績を上げています。

これはわれわれが開発した「マイクロサテライト」というシステムを駆使して行うもので、先進的な方法として注目を集め、現在では多くの研究者が同様の手法を用いるようになりました。
成果の面でも目覚ましく、「糖尿病」「摂食障害」「尋常性乾癬(かんせん)」「居眠り病」「高血圧」「リウマチ」などの疾患に関する遺伝子40以上を確定する事に成功しました。

2. ユニット制による自由な研究が、医療界に大きなインパクトを与えた

血流下の血栓形成機序の解明

「心筋梗塞」と「脳梗塞」は、どちらも心臓や脳に血液を送っている動脈に血の塊が詰まって起こります。同様の現象が手や足の血管に生じた場合は「閉塞性同謬悪硬化症」と呼ばれますが、これらを共通の病態「アテローム血栓症」として包括的に扱う事を提唱し、臨床検証などの調査を経て、その予防・診断・治療手段を開発しました。
斬新な視点からのわれわれの提唱は医学界に大きなインパクトを与え、世界的にも高く評価されています。
この研究成果は、ユニット制による横断的な複合によってもたらされました。血小板が血の固まりを作るメカニズムの研究は、血管内科の分野で行われていました。そこに循環内科医の視点として、動脈硬化巣が破れる現象を加え、血小板同士を糊付けし活性化させる働きのあるフォンヴィルブランド因子を突き止める事ができました。
またこの研究では、医局で臓器ごとの専門家が対応するような、人間を「部品として診る」アプローチではなく、「全身を診る」という東海大学医学部が目指す「良医」の視点も、活かされています。

東海大学が世界からも注目される先進的な研究を行い、成果を上げている裏には、
ユニット制の研究による自由度があるのです。

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