医学部の学生が国際会議「マヒドン王子記念賞会合」のラポーターを務めました

医学部3年次生の下牧万里子さんが、1月29日から2月3日までタイ・バンコクで開催された「2017年マヒドン王子記念賞会合」(Prince Mahidol Award Conference2017=PMAC 主催:タイ国政府、マヒドン王子記念賞財団、共催:独立行政法人国際協力機構=JICAほか)に、日本の学生としては唯一人参加し、分科会の議事録やサマリーを作成するラポーターを務めました。これは、国際保健に貢献した人を顕彰し、国際社会における保健関連の重要な課題の解決に向けて議論する国際会議で、毎年1月に開かれています。各国の政府関係者や行政担当者、学識者をはじめ、世界銀行、世界保健機関、市民団体の代表者ら約880名が参加しました。

今回のテーマは、「社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)を目指して脆弱層の健康を考える」です。移民や女性、高齢者、障害者、HIV・AIDSの感染者といった脆弱層の人々の現状や課題、支援方法などを議論し、”誰一人取り残されることなく”必要なときに必要な保健医療サービスを支払い可能な負担額で受けられる社会の実現を、世界に向けて訴えていこうとするものです。下牧さんは、元ノルウェー首相のグロ・ハーレム・ブルントラント氏や次期WHO事務局長候補のテドロス・アドラム氏ら8名による、政府主導の医療制度改革をテーマとしたパネルディスカッションを担当。タイ公衆衛生省の職員、アメリカ国際開発庁の職員との3名のチームで、同日中に議事録を作成しました。「パネラーの出身国や本人の経歴を調べ、過去に行ったスピーチや著作を読むなどの準備をして当日に臨みました。発言の内容を正しく簡潔にまとめるのは大変な作業で緊張しましたが、最終日には、自分たちがまとめたサマリーの発表を聞いてほっとしました」と振り返ります。

カナダのサイモンフレーザー大学で国際関係学を学んだ下牧さんは、医師として国際社会に貢献したいと考え医学部に入学。1年次生のとき、本学がWHOやJICAと連携協力してWHOの加盟国を対象に実施した「21世紀保健指導者養成コース」に個別体験学習として参加したことで公衆衛生の重要性に気づき、同コースの運営事務局を担当していた本学部の木ノ上高章准教授(基盤診療学系衛生学公衆衛生学)の勧めもあって、ラポーターに志願しました。

「発展途上国に対しては、その国の文化や習慣などを理解した上で、地域や人々に添った支援を行うべきだとPMACへの参加を通じて学んだ」という下牧さん。「ウェルカム・ディナーでは、各国の政府関係者の皆さんとも親しく交流し、刺激を受けました。フィールドトリップで訪れた地方都市の高齢者施設では、利用者がボランティアで子どもたちの世話をするなど、高齢者が”社会から必要とされている”と実感できる暮らしが印象に残りました。今後も日本をはじめ世界各国の保健医療に関する学びを深め、将来は、”誰一人取り残されることない”保健医療制度の構築に貢献したい」と抱負を話しています。

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