大学院理学研究科の学生の研究論文が科学論文サイトに掲載されました

理hp報「太田さん科学論文掲載」01.jpg理学部化学科の関根嘉香教授の研究室に所属する太田栞さん(大学院理学研究科化学専攻2年次生)が執筆した研究論文「都心における大気中微小粒子状物質(PM2.5)の長期観測(Measurement of PM2.5 and Water-Soluble Ions at Central Tokyo,Japan and Source Apportionment)」が昨年12月に、科学論文サイト『The Global Environmental Engineers』に掲載されました。この論文は、関根教授と本研究室に所属する学生らが東海大学付属望星高等学校科学部の生徒らと2013年度から進めてきた調査結果を英訳したものです。

関根研究室では、科学部が科学技術振興機構の「中高生の科学部活動振興プログラム」の採択を受けて実施した、PM2.5や窒素酸化物(NOx)などの大気汚染に関する調査研究に協力。測定器の使用方法や汚染物質の捕集方法などを指導し、生徒らが集めた物質の化学成分の分析を続けてきました。「人や物事に対して壁をつくらず、興味のあることはどんなことでも挑戦する」がモットーの太田さんは、理学部化学科4年次に在籍中から積極的に参加。PM2.5の分析を担当したほか、2014年には室内環境学会学術大会に高校生として唯一参加した生徒たちの、ポスター展示や口頭発表をサポートしました。論文掲載について太田さんは、「望星高科学部員の熱心な観測が発表につながりました。英語の論文作成は自分にとって一つのチャレンジでしたが、生徒たちと協力し合って続けてきた調査研究の成果を世界に発信できて大変うれしく思っています」とコメント。同部の部員からも、「自分たちの調査結果を英語論文にまとめていただき感激です」「今後も頑張って観測を継続したい」など、感謝と喜びの声が寄せられました。

4月から環境アセスメント関連の仕事に就く予定の太田さんは、現在、経済学やエネルギー分野の研究者らとともに中国のエネルギー転換に関する研究を進めるなど、幅広い活動を展開しています。また、3月にはアメリカ・アトランタで開催される世界最大の分析機器・理化学関連機器の展示会「PITTCON2016」で、PM2.5の毒性に関する研究成果について口頭発表する予定です。「広い視野を持ち、グローバルに活躍できる人になるのが目標」という太田さん。関根教授は、「コミュニケーション能力に優れ、社会、経済など異なる分野の専門家らとも共同研究できるのが太田さんの強み。社会人になって、さらに活躍の場を広げてほしい」と話しています。

なお、論文は下記のサイトからダウンロードできます。
http://www.avantipublishers.com/the-global-environmental-engineers-volume2-issue2/