総合科学技術会議
最先端・次世代研究開発支援プログラム

内閣府の総合科学技術会議が推進している公募事業「最先端・次世代研究開発支援プログラム」のライフ・イノベーション分野で、健康科学部看護学科の石野知子教授と東海大学医学部医学科の田中里佳助教がそれぞれ採択されました。

総合科学技術会議「最先端・次世代研究開発支援プログラム」

大学に所属するなどして主体的に研究できる環境にある若手研究者、または女性研究者を対象にその研究活動を支援する制度。政府の「新成長戦略(基本方針)」に掲げられた、政策的・社会的意義が特に高い先端的研究開発を支援し、中長期的に日本の科学・技術の発展を図り、持続的な成長と政策的・社会的課題の解決に貢献することが目的です。

「環境・資源・エネルギー・食料分野にこだわることなく、基礎研究から出口を見据えた研究開発まで、地球温暖化を克服し、持続的な発展が可能な社会の実現を目的とした挑戦的な研究開発を幅広く推進」するグリーン・イノベーション分野と、「生命機能や疾患原因の解明等の基礎研究から出口を見据えた研究開発まで、健康社会の実現を目的とした挑戦的な研究開発を幅広く推進」するライフ・イノベーション分野が設定されています。(総合科学技術会議のウェブサイト参照)

両分野の合計採択件数=329件(私立大学=21件)

石野知子教授(健康科学部看護学科)
「哺乳類らしさを形作るメカニズム」について

研究課題の概要

(1)研究の背景

ヒトをはじめ多くの生物種の「生命の設計図」であるゲノム(遺伝子の集まり)の解析が進んできました。このゲノム情報からどうして生物種による特徴が見られるのか、特に哺乳類の特徴の解明からヒトへの理解を深める研究を推進する必要があります。

(2)研究の目標

私たちヒトを含む哺乳類は、母親が体内で子供を育み出産する「胎生」と、母乳で子供を育てる「ほ乳」という特徴的なシステムで次世代へ繋いでいきます。爬虫(はちゅう)類や鳥類などとは違う「哺乳類らしさ」を、関係する遺伝子の探索や遺伝子の使われ方(ゲノム機能)を調べることで明らかにしていきます。

(3)研究の特色

私たちは「哺乳類の胎生には哺乳類だけに存在する遺伝子の働きが重要である」ことを世界で初めて明らかにしました。それらの遺伝子は哺乳類のゲノムに入り込んできた、ウイルスのような外来のDNAから新しく生まれました。哺乳類が新しく生み出した遺伝子と「哺乳類」らしさの創造の謎に焦点をあてて研究を進めます。

(4)将来的に期待される効果や応用分野

「哺乳類らしさ」を創り出す遺伝子の解明は、ヒトの妊娠や母体内での胎児の発育に関わる疾患の原因解明に役立ちます。また、哺乳や子育て行動に関係する遺伝子の発見も期待され、生殖医療や小児・母性医療の分野の発展に大きく貢献することができます。

田中里佳助教(医学部医学科外科学系形成外科)
「糖尿病性潰瘍に対するハイブリッド型生体外増幅血管内皮前駆細胞による新しい血管再生治療の開発」について

研究課題の概要

(1)研究の背景

糖尿治性足潰瘍のために、年間約1万人の患者さんの足が切断されています。糖尿病性足潰瘍が治らない理由のひとつは、糖尿病患者さんの血管を再生する力をもつ幹細胞(血管内皮前駆細胞、またはEPC)の数と働きが劣っていることです。これまで私たちは、患者さん自身から採取したEPCを足に移植する治療法を試してきましたが、細胞の質と数に限界があり、その効果は限定的です。

(2)研究の目標

EPC移植の治療効果の改善には、より質の高い、より多くのEPCを得ることが必要です。私たちは、患者さんから採取したEPCを特定の組み合わせの細胞と混合培養することでEPCの質と数を飛躍的に改善する独自の方法(ハイブリッド型生体外増幅培養法)を、患者さんに実用可能な方法として確立し、その治療効果を検証します。

(3)研究の特色

私たちはすでに、体外増幅培養方法を用いてマウスEPCの数と機能を回復することに、世界に先駆けて成功しています。そこで得られた知見・経験を生かすことで、この画期的な血管再生治療法をヒトを実現することは十分可能であると考えます。

(4)将来的に期待される効果や応用分野

本研究でその増幅法を確立するEPCは、足潰瘍のみならず、糖尿病患者の脳梗塞、心筋梗塞などの虚血性病変全てに対する血管再生治療に適用できると共に、ほかの病気の血管再生治療への広範な応用も期待されます。

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