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JAXA「みどりⅡ」衛星プロジェクトでデータ解析チームを指揮

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大学院から次のステップを探していた時、宇宙航空研究開発機構(当時NASDA、現JAXA)が、大気リモートセンシングの研究者を募集していた。迷わず名乗りを上げ、地球探査の情熱とキャリアをアピール。研究開発職に就く。

1994年から約11年、宇宙から地球を探るミッションのもと、主に衛星搭載可視赤外センサの開発に従事。雲解析アルゴリズムの開発をはじめ、衛星センサープロジェクトに関わる多くの研究と共にマネジメントも手がけた。最も忘れられないのが「みどりⅡ(ADEOS-Ⅱ)」衛星プロジェクトだという。先代の「みどり」衛星の故障(1997年)、HⅡロケット8号機の打ち上げ失敗(1999年)の余波をかぶり、99年に予定されていた打ち上げは2002年の晩秋に。この時、「みどりⅡ」衛星搭載グローバル・イメージャ(GLI)プロジェクトにおけるデータアルゴリズム開発チームのリーダーを務めていた。日本人スタッフと海外から招聘された若手研究者で構成される国際色豊かなチームを、英語力、マネジメント力も駆使しながらひとつにまとめた。

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「一連の『みどりⅡ』衛星プロジェクトは約10年という期間と相当の費用をかけた巨大プロジェクトでした。当時の私は怖いもの知らずの若造でしたが、それなりに重責を感じ、同時に覚悟もしていました。それだけに打ち上げに成功し、GLIの初画像を目にした時の感動は大きく、チームで喜びを分かち合いました」。

全長約6mの「みどりⅡ」は、地球の800㎞上空で極軌道(北極から南極までの軌道を1日に約14周)を描いた。定常観測運用できたのは約8カ月間だったが、最先端のセンサが5つ搭載され、紫外線からマイクロ波領域までの波長によって、貴重なデータを得ることに成功した。

「みどりⅡ」から得られた科学成果のひとつに、センサの複合利用がある。GLIと高性能マイクロ波放射計(AMSR)を複合的に用いることで、雨となる雲粒の大きさを計測し、高緯度までの水雲の降水性分布を明らかにした。それまでの先行研究では熱帯から中緯度にかけてしかつかめなかったが、これにより南北緯度60度の高緯度までその範囲を拡張することに成功。この時のデータを活かし2009年に論文としてまとめたものが、2011年に日本リモートセンシング学会論文賞に輝いた。

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