EPISODE6

学生は受動型でなく能動型レーダーに
間違いを恐れず発信し続ける姿勢を培う

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長い視点で人類の未来と幸福を考える姿勢は、研究だけでなく教育にも大いに活かされている。東海大学の教員生活は6年になるが、研究意欲を支援してくれる良き環境を感じると共に、潜在力を秘めた学生たちからも大きなパワーをもらっているという。

「日頃、学生には誉めて伸ばすことを心がけています。研究室の雰囲気が良ければ、学生の気分も良くなり、主体性も育つはず。学生には受動型センサではなく、自ら何かを発信する能動型レーダーになって欲しいですからね(笑)。実際、東海大学の学生は一度研究の面白さに気づくと、すさまじく伸びて高いパフォーマンスを発揮しますよ」。

数年前から東海大学代々木校舎と沖縄地域研究センター(西表島)に気象観測装置を設置し、地球の鼓動を直接体感できる研究を学生と共に開始している。また、全天を5分おきに撮影するカメラを設置し、その画像は学生はもちろん、中島研究室のウェブサイトを訪ねれば誰もが見ることができる。他にも他大学と連携し大気の状態を観察する計画があるなど、次々と新しい研究プロジェクトが動き出している。国内外の受動型・能動型センサ、さらに地上からも雲と大気の観測に余念がない。研究に対する熱意や、自由な発想とチャレンジ精神がそのまま学生に伝わり、好奇心に火を付けるのだろう。

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学生に対する口ぐせは「頭を働かせよ。手を休めるな」「間違いを恐れず、自分を発信しよう」「種をまき続けよ。いずれ花が咲く」。どんなに忙しくても、学生たちの背中を押し、励まし続ける姿が印象的だ。

「学生には、学問に集中できる今という時間の貴重さをぜひ噛みしめて欲しい。大学に籍を置ける環境は必然ではなく、親や周囲の理解のおかげでもあるし、自分で主体的に選択したことでもあるはず。こうした機会を幸運と感じて、今しかできない学問にぜひ打ち込んで欲しい。将来はここで学んだ情報システムを基礎に、様々な世界で活躍してもらえたら嬉しいですね。私も学生たちとの出会いを一期一会と捉え、彼らのバージョンアップのための良い刺激になれたらと思います」。

自ら歩んできた道のりの中で、これまで得た教訓を学生に自然な形で示しながら、10年1サイクルという衛星プロジェクト特有の長いスパンで研究に挑み続ける。遠く地球の未来を見据える視点、誰に対しても壁を作らないオープンな人柄、そしてたゆまぬ探究心。それらが温かなエネルギーとなって、研究室の学生たちを巻き込んでいる。

これからも自ら与えられた境遇と使命を胸に刻み、楽しみ、もがきながら、果敢に雲の謎へと挑んでいくことだろう。

中島 孝 PROFILE