EPISODE4

臨床と基礎研究のつなぎ役へ
ヨガなどの導入、他学部との連携も

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現在、新倉助教の生活は毎週火曜日に外来診療を行い、週に1度は手術を担当する。それ以外は組織標本をバーチャルスライドに取り込んだ画像の解析など、主にパソコンによるデータ解析を中心に研究に打ち込む。趣味はトライアスロンで、毎朝自宅のある湘南から東海大学付属病院のある伊勢原まで約20㎞の道のりを自転車で通っている。医師としての自覚からか、自らの体の内にも目を向け、ストイックに朝型の健康的な生活を送る。

今後、学生を教えるようなことも増えるのではと問うと、「まだ自分の研究に精一杯のところがあり、医師の卵である学部生を教える余裕はありません」と笑う。「それより研究を志す大学院生や若い医師に、自分が留学で学んできた論文の書き方、研究方法のノウハウなどを伝えていけたらと思います」と後進の研究者育成に意欲を見せる。

「臨床も大切だけど、それを基礎研究につなぐトランスレーショナルリサーチ(橋渡し研究)の部分で良いパイプ役となれたら、というのが私の願いですね。アメリカはその点でとても進んでいましたし、自分も医学部内で基礎研究者と積極的に連携していきたいと思います」。

“臨床医師であり、研究者でもある”多面性を持ちながら、これからも持ち前のバイタリティを活かして両方に全身全霊を注ぎこんでいくことだろう。今後は乳がんの研究を踏まえて、以前から追究してきた「骨転移」をテーマに、前立腺がんや腎がん、肺がんなど他のがん症例も研究してみたいという。

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なお、米国のがん治療では手術や化学療法といった直接的な治療だけではなく、患者さんが予後を快適に過ごすことができるよう、ヨガやエクササイズを採り入れる代替療法の研究も活発に行われているという。

「体を動かすことは副作用がありませんし、患者サービスとしても可能性は大きいと思い、東海大学付属病院でも導入を検討しているところです。乳がんの術後に気分が落ち込んだり、化学療法の後遺症に悩まれたりする方を見て来ていますが、自分もこうした方向で患者さんの予後にも貢献できればいいですね。例えば総合大学である東海大学のメリットを活かし、体育学部など他学部と積極的に連携を図る可能性も探っていきたいと思います」。

自らの留学経験で感じた日米の差。それを少しでも埋めたい思いもあるようだ。医学の新しい方向性や他学部との連携までも見据え、患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を願ってやまない。

東海大学のみならず世界を巻き込んだ活動、医学と他領域に橋を架ける活動にも注目したい。

新倉 直樹 PROFILE