EPISODE4

学生たちの目標に寄り添い、研究や進路をサポート
卒業後も連絡をくれる絆の強さが嬉しい

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授業は大学2年次生向けに「植物の生態」、3年次生向けに「環境緑地学」、そして大学院生向けに「ゲノム科学特論」を担当。現在、3・4年次生を中心に約20名の学生が星准教授の研究室に所属している。
「大学院進学を経て研究者になりたい者、企業への就職をめざす者、さらには実家の農家を継ぎたい者など学生の希望は多様ですが、それぞれの目標がかなうように一人ひとりとよく話し合い、バックアップに努めています」。

取材中も気さくに肩を組むような姿が見られ、学生との壁は全く感じられない。研究者志向の大学院生には普段から妥協のない研究姿勢を見せ、論文指導にも厳しい一言を忘れない。その一方で、熊本県の地元農家を継ぐべきか迷っている学生には、限界集落の中で行われた有志の手による新しい農業コミュニティに連れて行き、進路の判断材料になるよう将来を考えるヒントを提示している。
「研究は自分一人ではなく、学生や他の教員、環境を整備してくれる技術員や事務スタッフがいてこそ成り立ちます。また、学生が自分で研究した成果は学生の手によるものとして公表し、激励することも忘れません」。

実際、教え子の中には確かな成果を出す学生も増えている。2010年に星准教授の研究室に所属したある大学4年次生は、ビブリス属の食虫植物について研究・発表し、日本学生支援機構優秀学生顕彰学術分野で大賞に輝いた。また、2013年に大学院修士課程を修了し、環境アセスメントの仕事に就いた女子学生は、日本国内では絶滅種として環境省レッドリストに掲載されていたヒカリゼニゴケを、熊本県球磨村のある洞窟で発見し、胞子の状態で越冬する可能性が高いことなどを突き止めている。
「教え子が確かな成果を残すと共に、卒業生が企業や研究の道に進んで活躍し、たまに電話をしてきてくれたりするのは大きな励み。とても嬉しく思います」。

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阿蘇キャンパスは熊本市街から自動車で約1時間かかる。だからこそ多くの学生はキャンパス周辺に住み、暇があれば互いの家や下宿先を行き来し、何でも話し合うという。キャンパスでは新入生歓迎会、建学祭などイベントも豊富。農作物収穫体験や農産加工場でのソーセージ販売などでは、地域の人々とも交流できる。学生たちにも笑顔が多い。この4年間で、教授や仲間、地域と強い絆で結ばれていくことが想像される。
「阿蘇キャンパスは研究室から出れば目の前に農場や牧場、実習温室があり、温度調節のできるバイオテクノロジーセンターもあります。こんなに動植物を体験的に学べる環境は、日本中を探しても他になかなかないでしょう。だからこそ学生たちにはこの恵まれた環境を活用し、そこで得た知識や人とのつながりを様々な場所で活かして欲しいと思います」。

最後に「今回の取材は自分が目立つより、研究内容や東海大学農学部の存在が目立ってくれれば・・・」とポツリ。そんな謙虚な言葉は、自分を生かしつつ周囲を生かす、愛すべき植物とも相通じるものといえそうだ。今日も星准教授は研究室と実習農園、水田を行き来し、学生と共に植物の未知なる可能性を探求している。その先には、農業の活性化や地球温暖化の抑止、生物多様性の存続がある。

星 良和 PROFILE