EPISODE3

研究は学生の教育のため
社会に連れ出し、刺激を与える

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岩田教授の研究室には現在、院生と学部生合わせて十数名が所属。朗らかな人柄と旺盛な研究意欲が、学生を惹きつけている。

「私は大学には研究のために学生がいるのではなく、学生の教育のために研究があるのだと捉えています。学生が研究を通して成長するには、その研究を楽しいと感じることが大切。私の研究は企業と連携する場面が多いので、打ち合わせなどには極力学生を同席させるようにしています」。

また、照度計などの測定器は十分にあり、教室の天窓や研究室のブラインドを自動的に操作して室内光環境の研究を行ったり、屋上を利用して太陽光の計測もできる。「東海大学の研究に対する理解と環境の良さに感謝しています」と語る。

多様な場所で共に実験や研究を行い、それが実際の社会でどう応用されていくのか、学生たちは肌で感じ興味を増していくようだ。実際、学生が照度計を手に研究所やオフィスのブラインドの前で計測することもある。その場で教授と企業担当者が真剣に議論する光景に触れ、自らも対話をすることで学生は刺激を感じ、モチベーションが上がっていく。

学生の一人に岩田教授の印象を問うと「先生は研究に関してとてもストイックで、このデータを取ることが大切だと感じたら毎日休まず測定に赴きます。本当にエネルギーが旺盛で、私の研究心にも火が付きます」とのこと。

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なぜそこまで研究に打ち込めるのか、その質問を岩田教授に向ける。

「研究が好き、ということに尽きるでしょう。時に失敗したり、うまくいかないときは落ち込んだりもします。ただ、失敗があるから研究意欲に燃え、学生も巻き込み一緒にやろうとなる。研究の答えはひとつではないし、論文も制約がなく自由だからこそ大変と感じることもあります。しかし、試行錯誤の末にうまくいったときや、予想と結果がピタッとはまったときの快感は病みつきになりますよ」。

それを学生と一緒に感じ、研究が社会に応用できたとき苦労も吹き飛ぶようだ。海外に出た時には英語の大切さを感じるようで、「グローバルな時代にあって、意識の高い学生には英語を使った授業を受けるよう推奨し、緊張感を持たせたい」とも語る。比較的女性が少ない建築分野の中で、自分の立ち位置を見つけ、独力で道を切り拓いてきた人ならではの言葉といえそうだ。

「国際学会に出ると欧米は女性研究者も多く、産休や育休をきっちりと取ったうえで復職し、頑張る姿が当たり前になっています。日本も少しずつ、そうなっていけばいいのですが…。特に女性の持つきめ細かさや大胆な発想は、建築や設備の設計に活きることがあると感じます。私自身は今後、さらに光の生体リズムなど生理や心理面からの研究を行い、それを実用的レベルに落とし込む応用研究を進めていきたいですね。同時に研究の楽しさ・奥深さを伝えながら、独自性の高い研究ができる人材の育成にもあたっていきたいと思います」。

「理系女子(リケジョ)」という言葉もない時代から、研究と教育の両方に情熱を燃やしひた走ってきた。「でも、最近の休日は孫との触れ合いが楽しみ」と笑う。自然光に包まれて誰もが心地良く過ごせる環境の創造へ、その願いはますます強まっているようだ。

岩田 利枝 PROFILE