HOME > 大学院 > 芸術工学研究科 生活デザイン専攻(修士課程)
東海大学大学院芸術工学研究科(旭川キャンパス)は1990年4月に開設された北海道東海大学大学院芸術学研究科を母体とし、東海大学建学の理念である精神文明と物質文明の調和を目的に、芸術的側面と工学的側面を融合した生活環境の創造を目指して2008年4月に開設された新しい研究科である。
本研究科の研究内容は既設の東海大学芸術工学部(旭川キャンパス)における「人々のより幸せな生き方を追究するヒューマニズムに立脚し、芸術の創造性と科学的技術手段のバランスの上に立って生活環境を計画・設計する」という研究・教育活動を基盤にしている。今日、技術の高度化は生産・流通・情報の飛躍的な発展をもたらし、人間生活で用いられる製品、空間、情報などの驚異的な進歩を遂げている。これからの生活を支える物的環境は機能面のみならず、美しさ、心地よさなどより完成度の高いデザインが要求されていると同時に、バランスのとれた総合的な発展が求められている。東海大学芸術工学部は芸術の持つ総合美と工学の持つ機能美を整合させ、望ましい生活環境を生み出すことを目標に1977年に北海道東海大学芸術工学部として設立され、デザイン分野と建築分野における教育研究に大きな成果を上げてきた。
しかし環境破壊、資源の有効利用、高齢化社会、生活環境の永続性(Sustainability)など、これまで話題にならなかった新たな課題に直面している現在、芸術工学そのものの進化が急務となっている。このような課題に対応するためには基礎学修の段階である学部教育にはおのずと限界があり、デザイン研究の高度化とより高次な学術研究の場が求められてきた。このような背景の中で開設された北海道東海大学芸術学研究科は1990年の設立以来、人文、社会、自然にまたがる広い知識と高度な技術の習得および芸術的感性の涵養を基軸に、広く人間社会・生活環境作りに関わる教育研究を展開してきた。
近年、地域の生活様式や住民意識の分析、提案、開発、生産に至るデザイン方法の高度化研究が進んでいる。特に本学が立地する旭川市の地場産業である家具のデザイン開発や木材の高度化利用、積雪寒冷地の生活環境の改善提案など地域密着型の取り組みは今後の本研究科の重要なテーマとなるであろう。また北海道立の諸研究機関との連携や人材交流も軌道に乗ってきており、これまで以上に製品開発や地域の環境計画などの具体的な教育研究が求められている。
2008年にスタートした芸術工学研究科はこのような社会的・地域的要請に応えるべく、形態形成・形態表現などの方法論と具体的なデザイン開発や空間提案などの体系化を図ることでより高度な研究体系を構築しようとするものであり、地域社会のデザイン研究の核として、また、国際社会に通ずる指導者養成機関としての役割が期待されている。
北海道における厳しい自然条件の中で快適に生活するためにはさまざまな創意工夫を必要とする。つまり自然環境は教育や研究の現場に独特のデザインテーマを与えてくれる。芸術工学研究科は広い視野で環境全体にテーマを求め、それらを総括的に教育・研究するために生活デザイン専攻1専攻とし、研究対象別に専攻内容を次の4つの系に分けている。
・製品デザイン
家具、文房具、家電、移動具など生活で用いられるさまざまな道具、機器類を対象に、形の意味性や機能性、生産性、流通性、経済性などの形態化を研究
・空間デザイン
住宅、公共施設など建築およびインテリアを対象に、地域性との関わりの中で、より豊かで、より快適な空間デザインや計画提案を行う
・環境デザイン
室内外の建築環境や都市、地域、田園、自然空間などの広域な環境を対象に、環境工学、地域計画、ランドスケープデザイン、まちづくり、環境教育などを研究
・コミュニケーションアート
デジタルデザイン、グラフィックデザインなどの視覚情報分野と、ヴィジュアルアート、造形デザインなどのアート分野を対象に、情報社会や生活環境への展開を行う
いずれの系もその共通点は、調査や実験に基づいたデザイン方法論を確立し、優れた形態・空間・環境を創造するための仕組みを明らかにすることにある。
芸術工学研究科は調和のとれた生活環境形成に貢献できる人材を社会に送り出すことをめざし、人文、社会、自然にまたがる広い知識と高度な技術の習得および芸術的感性の涵養を基軸に、分析、提案、開発、生産に至るデザイン方法の高度化研究を行っている。中でも北国の生活環境の改善・向上をテーマにしたさまざまな研究、例えば家具のデザイン開発、ユニバーサルデザインの研究、北海道を対象とした生活環境の改善提案などの地域密着型の取り組みは、今や本研究科の独自性となりつつある。
本研究科の特徴の一つはマンツーマンをベースにした少人数ならではのきめ細かいかつ緊張感ある研究指導にある。芸術工学という性格上、修士研究の進め方には大きく2つの種類がある。一つは調査・実験を基軸にした「論文」形式、もう一つはデザイン、作品制作、設計など具体的な提案をテーマとするいわゆる「特定の課題」という形式である。いずれを選択した場合も修士論文テーマ発表会、中間発表会、最終発表会という3つの一般公開された発表会を義務づけ、さらに最終成果物の作品展示、レジュメ作成、および梗概集の原稿作成までを研究の一環と捉えて指導している。修士論文の発表会の他に作品展示会という形で発表できることの教育効果は想像以上に大きいものがある。
もう一つの特徴は研究を進めるに不可欠な製作環境と、成果を発表する展示環境の整備充実に力を入れていることにある。特に本格的な機械設備を完備した第1実験館の存在は大学院教育に深く関わっている。第1実験館は各種木工機械、金属加工機械などが設置されている製作工房棟で、製作物が多い本研究科の教育・研究に威力を発揮している。
本研究科は現代社会や地域社会のデザイン関連企業、建築関連企業で広く活躍、貢献しうる総合性と専門性を併せもち、高度な知識と技術を習得したクリエイターや職業人の育成を目指している。
本研究科の立地する北海道の経済状況は必ずしも活発ではなく、デザイン系の人材養成機関も少ないが、各界でのデザインの必要性は高いものがある。これまでは家具・工業デザイン、製品企画、建築設計、インテリアデザイン、地域計画コンサルタント、造園デザインなどの分野に広く人材を輩出してきてきた。また大学教員や地方公務員、国立大学の大学院博士課程に進学するケースも増える傾向にある。
キャンパスの立地上、外部で行われる各種事業に身近に接する機会は首都圏や札幌圏に比べ恵まれているとはいえない。年間計画に組み込みにくいさまざまな単発的・季節的な企画、例えば地元業界のデザイン関連イベント、設計コンペティション、企業のオープンデスク、インターンシップへの参加などはカリキュラムに組み込むことでその推進を図ってきたが、これが徐々に成果を上げてきており、地域に根を張る修了生が増えてきた。
また、北欧の生活文化から我々は生活の質的向上にデザインが深く関わり、重要な役割を果たしていることを学んできた。現在も北欧とはさまざまな形で人的交流・文化交流が行われているが、本研究科では国際交流を教育の現場にも取り入れ、将来国際社会で通用する人材育成にも力を入れている。
本研究科生活デザイン専攻は以下に定める能力を有していると認められる学生に修士の学位を授与する。
1)専門知識を駆使して学際的な研究に処することができ、研究活動を通じて積極的に社会貢献を果たすことのできること
2)生活者の視点とデザインの知識とをバランス良く身につけ、実社会に貢献しうる高度専門職業人となりうること
3)当該分野での必要な倫理的態度を身につけ、問題発見・解決ができる高度で知的な素養のある人材となりうること
4)当該分野における国内外の学会等での発表、質疑応答が可能なこと
本研究科教授会は、下記の基準を満たしている場合は、学位申請論文及び最終試験を「合格」と判定する。
1)修士論文に当該分野における創造性が認められること
2)修士論文が当該分野における標準的な様式に則っていること
3)修士論文において、研究の背景が適切に記述されていること
4)修士論文において、必要な参考文献が適切に引用されていること
5)修士論文を中心とした最終試験における質疑に適切に応答できること
6)修士論文において、研究テーマの妥当性、問題意識の明確さ、方法論的な一貫性、論旨展開・文章表現の妥当性などを別に定める評価基準(ルーブリック)により総合評価する
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