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形成外科

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特徴・主な疾患の診断・治療成績等

唇裂・口蓋裂

唇裂・口蓋裂の治療においては、形成外科のみならず小児科、耳鼻科、矯正歯科、そして言語聴覚士によるチームアプローチが最も大切であり、当施設は円滑に行われ、毎週水曜日に唇裂・口蓋裂治療チームによる外来が開設され、患者さんの移動を最小限にし、複数の医師が集まって外来を行います。唇裂は生後3〜6ヶ月、口蓋裂は生後6〜18ヶ月が一応の手術時期のめどです。最近は、口蓋裂で歯槽堤の段差の大きいお子さんに対しては、口蓋床を開いた術前顎矯正を行い、良好な歯列弓を獲得してから唇裂および口蓋形成術を施行しています。わが国でも導入され始めた顎裂に対する骨移植は率先して行い、良好な歯列の獲得に努めています。

言語については言語聴覚士と臨床心理士が定期的に言語発達を評価し、必要に応じて言語指導・訓練を行っています。また口蓋裂のお子さんは慢性浸出性中耳炎を合併することが極めて多く、耳鼻科の協力の下に早期診断とチュービングによる治療を早期より行っています。母親教室では治療方針の説明や、また矯正歯科と協力して歯の管理に努めています。

頭蓋・顎顔面骨の変形

矯正歯科とチームを組み、特に咬合不正を伴った顎変形症の治療を中心に、年に約40症例の上下顎骨切り術を行っています。また脳外科と協力して、クルーゾン病、アペルト症候群などの高度頭蓋顔面変形症に対するクラニオフェイシャルサージェリーも行っています。この際に高度先進医療で認められた実体模型を作成し、これを用いたシミュレーション手術を術前に行うことにより、より精度の高い頭蓋顔面骨の術後形態の設定が可能となりました。

顎・顔面補綴

眼瞼周辺や耳介は形態が複雑で再建が特に難しいため、古くから人工の顔面補綴物(エピテーゼ)による治療が行われてきましたが、糊を用いた局所皮膚への固定性に問題があり一般化しませんでした。近年、人工歯根の発達とともに純チタン製インプラントが骨と強固に結合でき、人工歯根のみならず顔面エピテーゼの固定源としての応用価値も非常に高いことが判明しました。当形成外科は、わが国でも先駆けてブレーネマルク法による顎顔面補綴を導入し、高齢で自家組織では再建困難な患者さんの眼瞼部や耳介欠損の再建に適用し、早期の社会復帰など良好な結果を得ています。

小耳症・耳介欠損

小耳症や耳介欠損に対する耳介再建に世界で初めて皮膚拡張器(エキスパンダー)を導入、皮膚に十分なゆとりを得た上で微細に細工を加えた肋軟骨フレームを移植することにより、従来法に比べて再建耳介の形態は飛躍的に改善しました。

実体模型によるシミュレーション手術

顔面骨々折後の高度変形、頭蓋顔面骨の先天性ないしは発育異常、脳外科手術後の頭蓋の高度変形をきたした患者さんには、実体模型によるシミュレーション手術を適用し、良好な手術結果を得ています。

当形成外科では、この分野で全国に先駆けて1995年10月より高度先進医療の認可を得ており、すでに多数の症例に手術を行っています。これは先ず、患者さんの三次元CTデータから実物大の頭蓋顔面骨のレジン製実体模型を作成し、これをもとに術前のシュミレーション手術を行うことにより、実際に手術時における骨切り線や固定法などを決定する方法です。

骨延長装置を用いた頭蓋骨・顎骨延長

骨延長術とは骨を徐々に延長することにより、骨膜、神経、血管を損傷することなく延長部に新生骨を形成させ、骨移植せずに骨の延長を図る方法です。顎骨延長術は、若年者における顔面骨の形成不全に対する新たなる術式として近年注目されており、当形成外科においては第一第二鰓弓症候群における顔面非対称の患者さんに本法を行い、良好な結果を得ています。また最近はこの方法を頭蓋変形にも適用し、少ない手術侵襲で良好な手術結果を得ています。

乳房再建

乳腺外科と協力して、乳癌根治術後の即時再建手術を主に腹直筋皮弁により行っています(即時再建手術においては症例数はわが国で最多)。乳癌切除後の醜貌は女性にとって大きな悩みです。近年QOLの向上などの理由により、根治術後の再建手術を希望される患者さんは著しい増加傾向にあります。外科医が乳房を切除する際に皮膚切除範囲のデザインを型紙に写しとっておき、これを再建に役立たせることにより形の良い乳房を再建することができます。また、過去に乳房切除術を受けた患者さんに対しても、二期的再建手術を行っています。

マイクロサージェリーによる頭頚部再建

頭頚部悪性腫瘍根治術後の組織欠損は、機能的、形態的に著しい障害をもたらします。マイクロサージェリーはこれらの組織欠損に対して、顕微鏡下に1?2mmの動脈と静脈を吻合することにより、皮膚のみでなく皮下脂肪、筋肉、そして時には骨も含めた大きな組織の移植(遊離皮弁)を可能とする専門性の高い手技で、ここ20年来大きな進歩を遂げました。特に耳鼻科、口腔外科における頭頚部悪性腫瘍の根治術後の即時再建を年間60症例以上行い、最近では益々増加傾向にあります。更に、一般外科における胸壁再建、脳外科における頭蓋底再建、整形外科における骨髄炎の治療や露出骨面の被覆など、他科とのチーム診療を多く手がけています。

褥瘡

褥瘡の局所治療としては外用剤や創傷被覆材などを用いる保存的治療と、デブリードマン(壊死組織を取り除く手術)や皮膚・皮弁移植術による外科的治療が行われます。保存的治療か外科的治療かは、褥瘡の創面の局所状態に加えて、患者様の全身状態や基礎疾患の有無により選択されます。褥瘡の治療後も看護師・医師・栄養士・理学療法士、また患者様・家人が褥瘡予防の重要性を認識したトータルケアーが必要とされます。

手術方法には、単純縫縮、植皮、皮弁・筋膜皮弁、筋皮弁などによる再建方法があります。再建部には荷重がかかるので皮弁による再建が望ましいですが、患者様の全身状態が不安定で、MRSAや緑膿菌を伴っている場合には、感染を制御する目的で侵襲の少ない植皮を用いることもあります。褥瘡の深い欠損創には従来、筋皮弁や筋弁が用いられていましたが、最近では穿通枝皮弁や筋膜皮弁が多用されております。

熱傷

生命危機のある重症熱傷患者さんは、全身管理を救命救急部と協力して診療を行い、これを脱した患者さんは形成外科で手術を含めた治療を行っています。手術は自家植皮術が主に行われます。従来では救命不可能であった、皮膚を採取する場所が無い広範囲熱傷の患者さんに対し、複合型培養皮膚移植を行っています。

現在一般に用いられている培養皮膚は自家培養表皮で、これは感染に非常に弱く、表皮剥離や水疱形成など長期にわたりその脆弱性が問題となります。

我々が使用している培養皮膚は救命救急部の猪口教授が開発した複合型培養皮膚で、患者さん自身の培養した線維芽細胞に培養表皮細胞のシートをのせた、すなわち表皮成分と真皮成分を兼ね備えたものです。具体的な生着率に関しては検討中ですが、従来の培養表皮移植に比較して、生着性、感染に対する抵抗性が優れていることを確認しています。また、スキンバンクからの死体同種皮膚移植(生着はしませんが、従来の人工皮膚よりすぐれた被覆剤となります)を併用することで救命率を上げる努力をしています。

複合型自家培養皮膚は今後、従来の植皮術に代わる再建方法に発展する可能性を秘めたものであり、その生着率の向上、生着後の外見の改善について日々研究を行っています。また、重症例では特に機能回復が大切で、リハビリテーション科とも協力して最大限の機能を温存することに務め、瘢痕拘縮に対しては皮弁形成術、Z形成術、植皮術などによる治療を積極的に行っております。

顔面外傷および瘢痕形成

顔面の新鮮外傷の治療および外傷後の瘢痕の形成手術は形成外科において最も患者さんの多い分野のひとつです。軟部組織の外傷に対する治療のみならず、鼻骨々折、上顎骨々折、下顎骨々折、頬骨々折、眼窩底骨折などの顔面骨々折の治療も形成外科で行っています。近年、顔面骨々折ではチタンプレートあるいは吸収性プレートを用いた整復固定術が主流となっています。陳旧性骨折変形に対してはハイドロキシアパタイトブロックを使用するなどの対応をしています。

また、外傷や手術後の瘢痕は、その状態や変形に応じて、さまざまな手術法が行われています。ケロイド・肥厚性瘢痕では内服薬、外用薬、ステロイドの局所注射、あるいは外科的治療、放射線治療など様々な方法を用いて治療しています。

皮膚腫瘍

皮膚、皮下良性腫瘍(粉瘤、脂肪腫、線維腫など)は、術後瘢痕をきれいにするよう形成外科的手技を用いて手術を行っています。外来での局所麻酔下の皮膚腫瘍日帰り手術件数は2005年1年間で322件で年々増加傾向にあります。入院全身麻酔での皮膚悪性腫瘍の年間手術件数は約40件で、基底細胞癌(腫)、扁平上皮癌、悪性黒色腫、ページェット病(癌)など様々な皮膚悪性腫瘍に対し、皮膚悪性腫瘍取扱い規約に準じ、リンパ節転移の診断に対してはセンチネルリンパ節の生検を行うなど所属リンパ節の郭清術を含めた根治的切除術およびその再建手術、化学療法、放射線治療などを症例に応じて行っています。

レーザー治療

1978年、大学病院としてはわが国で初めて炭酸ガスレーザーを臨床に適用、以後、当大学病院におけるレーザー治療は常にわが国における最先端を歩んでいます。特に東芝と共同開発したルビーレーザー装置はわが国におけるレーザー機器開発に先鞭をつけたもので、メラニン沈着性色素異常症に広く適応されています。

現在、当形成外科で所有しているレーザー装置は、ルビーレーザー、Q?スイッチルビーレーザー(以上のレーザーは扁平母斑、太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性異物沈着症等で保険適応)、パルス色素レーザー(単純性血管腫、苺状血管腫、毛細血管拡張症は保険適応)、炭酸ガスレーザー、ウルトラパルス炭酸ガスレーザーで、QスイッチNd?YAGレーザー(シミ、刺青除去)、ロングパルスアレキサンドライトレーザー(脱毛、若返り)現在考えられる皮膚形成外科領域のレーザー治療をほぼ全て網羅しています。外来でのレーザー治療件数は2005年1年間で977件、また小児など全身麻酔での日帰り治療も積極的に行っており年間の症例数は216件に上っています。黒子等の皮膚小腫瘤、シミ(老人性色素斑)等もレーザー治療が可能ですが、保険適応外です。

美容外科

形成外科は本来、再建外科と美容外科という二つの車輪より構成されており、欧米に於ける一流の再建外科医は全てが美容外科を取り扱っております。当形成外科においても昨年度より院内標榜を“形成外科(再建外科・美容外科)”と改め、本格的に美容外科の導入に踏み切りました。治療内容としては、顔面の皺取り術、重瞼術、隆鼻術、豊胸術、脂肪吸引術等の美容外科手術を行っています。また顔面の皮膚の若返りを目的として、レーザーやケミカルピーリングに代表される皮膚のリサーフェシングも行っています。

また最近は美容外科開業医において皺の改善を目的としたボツリヌストキシンの局所注射が盛んに行われていますが、私達は現在、同治療法の安全性についての治験を行っています。

ハイドロキノン・トレチノイン軟膏によるシミ治療

ハイドロキノン・トレチノイン軟膏は、難治性肝斑の治療、ケミカルピーリングやレーザーを用いた皮膚のリサーフェシング後の炎症後色素沈着に対して、術前および術後処置として有効です。ハイドロキノンの効果はトレチノインと併用するとその効果が増強するとの報告があります。しかしこれらの試薬はわが国では医薬品として認可されていないため、これらの合剤は患者さんの承諾を得た上で使用しています。肝斑、老人性色素斑等の治療に対しては既に良好な効果が得られており、現在はレーザー治療後の色素沈着や老人性色素斑以外のシミに対して効果があるかどうかを検討しています。

自家培養複合皮膚移植

現在一般に用いられている培養皮膚は自家培養表皮で、これは感染に非常に弱く、表皮剥離や水疱形成など長期にわたりその脆弱性が問題となります。我々が使用している複合型自家培養皮膚は救命救急部門の猪口教授が開発した画期的な培養皮膚で、患者さん自身のフィブリンと培養した線維芽細胞に培養表皮細胞のシートをのせた、すなわち表皮成分と真皮成分を兼ね備えたものです。複合型自家培養皮膚の移植はすでに数十名の熱傷や熱傷後瘢痕拘縮の患者さんに行っており、従来の培養表皮移植に比較して、生着性、感染に対する抵抗性が優れていることを確認しています。これは真皮成分に自家組織以外のものを用いる従来の方法に比べて画期的であり、今後多くの臨床応用が可能になると考えます。

フットケアー、慢性潰瘍治療

慢性閉塞性動脈硬化症、糖尿病による足壊疽の患者さんの中には下肢切断を余儀なくされる方が少なくありません。近年特に、食事の欧米化、運動不足、ストレスなどにより糖尿病、動脈硬化などの疾患による足潰瘍が増加しています。東海大学形成外科では、一人でも多くの患者さんの足を救うため、循環器内科、心臓血管外科、整形外科、皮膚科、糖尿病内科と連携を図り、フットケアーから再生治療まで段階的治療を行っています。その窓口として、形成外科において慢性潰瘍外来を設けています。

担当医:田中里佳
外来日:毎週金曜日 午後13時〜16時(完全予約性)
診療内容:
外来にて患者さん一人に20分から30分の枠を取り、ご家族を含んだカウンセリングとご自宅での潰瘍処置の指導を行っています。糖尿病患者に関しては、腎代謝内科と連携し血糖コントロールを行ったうえで血行状態の評価し、血行再建、血管内治療を血管外科、循環器内科とともに行っています。

再生治療:難治性糖尿病性潰瘍に対する自己末梢血血管内皮前駆細胞移植

過去に難治性糖尿病性潰瘍に対する有効な治療方法は少なく、重症な潰瘍・壊疽は切断術の適応となります。最近、このような難治性潰瘍に対して自己幹細胞治療による治療が試みられ、東海大学形成外科では国内に先駆けて基礎研究と臨床試験が行われています。当科では、自己末梢血より採取できる血管内皮前駆細胞(CD34陽性細胞:血管幹細胞)を糖尿病患者より採取し、潰瘍に移植する臨床試験を2005年4月より開始しました。本研究は顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を4から5日間投与し、その後アフェレーシスにより単核球を採取し、さらに血管内皮前駆細胞(CD34陽性細胞)を分離し移植する方法です(平均入院期間:1週間)。現在までに一定の安全性と有効性が認められています。

対象患者さんの概要

1)潰瘍が皮下組織に達している重度の糖尿病性潰瘍を有する例で、保存的治療、外科的治療に抵抗性で改善が期待できない患者。または、著しくQOLが障害されており、将来切断が予想される重症例。
2)3ヶ月間の糖尿病に対する内科的治療を行っても潰瘍の明らかな改善が認められない症例。
3)年齢:20歳以上70歳以下の患者(同意取得時の年齢)