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2001年から、私の研究室では「ル・マンプロジェクト」として、レーシングエンジンおよびレーシングカーの開発に取り組んできました。その間、このプロジェクトに関わった学生はおよそ150名にものぼります。この150名の学生の悲願であったル・マンへの挑戦。これが2008年の今年、とうとう実現することになりました。ル・マン24時間レースへの大学チームの参戦は歴史的にも例が無く、世界で初の挑戦となります。今後、ル・マンの歴史に東海大学の名前が永久に刻まれることになるでしょう。もちろん、このような素晴らしいことが実現できたのは我々の力だけによるものではありません。本当にたくさんの方々にご協力をいただきました。この場をお借りして、皆様にお礼を申し上げたいと思います。
教育・研究のためなら、何もレースにまで参戦しなくても、と思われる方も多いと思います。しかし、座学でエンジンやレーシングカーの設計を学ぶことと、実際に車を作りレースに参戦することでは、天と地の差があります。また、車を作ることと、レースに参戦することにも大きな違いがあるのです。車を作るだけなら、たとえ早く走らなくても、すぐに壊れてしまっても関係ありません。ここまでは自己満足の世界です。しかしレースに参戦するとなると勝てる車、壊れない車を作らなければなりません。この過程の中で、学生は知的能力だけでなく、実現能力を獲得していくのです。ル・マン、レーシングカー、エンジンといった窓を通し、既に習得した学問をもう一度使えるように見直し、基礎学問の重要さを再認識する。そして学生は自分に足りなかった部分にも自ら気付くようになっていきます。
企業と違い、学生は毎年入れ替わっていきます。冒頭に申し上げたとおり、このプロジェクトにもこれまで約150名を超える学生が関わってきました。研究室に入ってきた学生は1年かけて成長し、また次の学生が入ってくればスタート地点に戻り1年かけて成長する。これが通常の大学の研究室です。しかしこれではいつまでたってもル・マン参戦という大きな目標を達成することはできません。我々が苦労したのは、いかに人が替わってもレベルを落とさずに、研究の質を上げていくか、ということでした。自分がどこに苦労し、何を考えてこのような結論に達したのか、といったことを克明に文書にし、後輩に引き継ぐ体制を構築することによりこの問題は解決しました。2005年にはスタディ・カーを製作、サーキットでのテスト走行を行い、詳細なデータを取ることにも成功し、ル・マン参戦への大きな足がかりとなりました。ですから今年のル・マン参戦は、今研究室にいる学生だけの力によるものではなく、2001年からこのプロジェクトに関わってきた約150名の努力の集大成です。すでに卒業してしまった学生にも、今回の参戦を誇りに感じて欲しいと思っています。
数あるレースの中でもル・マンを選んだのは、ル・マンが24時間の耐久レースであるからです。24時間、戦い続けるためには、何よりもチームワークが大切です。そして技術面はもちろん、集中力といった精神面も非常に重要になってきます。24時間は86400秒。この1秒たりとも集中力を途切れさせることはできません。是非この1秒1秒の重みを学生たちには感じて欲しいと思います。このような貴重な経験は彼らの人生観を変えることになるでしょう。そしてこれからの人生の大きな糧となることを信じています。 |
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