事例4 共同研究 三保の地下海水を利用したアワビの陸上養殖

東海大学海洋学部では、地元地域・企業と連携し、静岡県三保地区の地下海水を利用した陸上養殖システムの開発を進めています。これまで、地下海水によって飼育してきた魚介類は全部で16種類。そのなかでも2013年2月には、本システムで育てたエゾアワビ500個を試験販売しました。

企業と共同で作ったアワビ養殖パイロットプラント
飼育棚で養殖したアワビ

産学連携のきっかけ

静岡商工会議所が産学官連携により静岡市内の活性化を目的に進めている、「駿河湾地域事業化プロジェクト」の受託研究テーマとして選ばれ、静岡商工会議所の会員企業と、共同研究を始めたことがきっかけです。

技術のポイント

静岡県三保地区の地下海水は、一般細菌が少ないこと、年間の水温がほぼ一定(17~21℃)であることから、魚類の養殖に適した水です。
通常の海水等を使用した養殖では、冬季は水温が10℃以下となり、アワビは摂餌せず成長しません。反対に夏は27℃を超えてしまうために死んでしまったり、餌を食べなくなってしまいます。また、地先の海水では病原菌や様々な生物の幼生が配管に付着したり、飼育水槽に入ってきてしまうことから大型の濾過槽が必要となります。さらに、ほとんどの海面養殖では病気になるためにワクチンや魚病薬の投与が必要です。しかしながら地下海水を利用することで温度調整コストがかからず、すでに砂で濾過されているので濾過槽は不要で、病気にもかからないため、薬品投与のコストをかけずに安心安全な食材を提供できることが最大のメリットです。

海洋学部では安定的に大量のアワビを養殖するため、地下海水でアワビの稚貝を育てる研究や、飼育棚の形状を工夫し、一度に多くのアワビを飼育するための研究をしています。これまでに、3年で7センチ程度まで高密度で育てる技術を確立し、連携企業が試験販売を行いました。

今後も研究を続け、くみ上げた地下海水を循環させることで、アワビを飼育した排水でナマコを、その排水でトラフグの養殖ができるような仕組みを確立し、海水資源の有効利用を目指していきます。

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