事例5 技術移転 コンクリートの養生工法の実用化

東海大学と東洋建設(株)は共同で、コンクリート構造物の更なる品質向上のために、硬化が進行し始める時期のコンクリートの上面を対象とした新規の養生方法を開発し、特許出願を行いました。現在、東洋建設が施工する建造物の一部に、本技術が活用されています。

生分解性ゲルの製造・散布工程
コンクリートの表層部の品質改善効果
養生なし  
マット 湿潤マット 敷設期間:材齢1~7日
灌水 散水量:3,000g/m2 散水時期:ブリーディング終了時
被膜養生剤 散布量:97g/m2 散水時期:ブリーディング終了時
ビニール 塗装用シート
敷設期間:ブリーディング終了時~材齢7日
生分解性高分子給水ゲル 生分解性高分子給水ゲル:水=1:60(質量比)
散布量:3,050g/m2(膜厚3mm)
散水時期:ブリーディング終了時
生分解性高分子給水ゲル+マット 上記の生分解性高分子吸水ゲルの条件
+湿潤マット(敷設期間:材齢2~7日)の組み合わせ

産学連携のきっかけ

土木工学科の笠井教授は、建設分野へ生分解性高分子ゲルを活用することを検討しており、東洋建設(株)が、コンクリートの養生材料としての利用に興味を持ったことで、共同研究がスタート。その結果当該技術の効果が認められたため、その方法を共同で特許出願するにいたりました。

知財管理

特許出願:国内1件「コンクリートの養生方法」

技術のポイント

コンクリートは型枠に打ち込んだ後、十分硬化するまでの期間(極初期材齢と称す)に表層部が急激な乾燥を受けると、品質の低下を招く場合があります。これを防ぐために、通常はビニールシートで表面を覆ったり、膜養生剤を散布したりしますが、風によってシートがずれ表面が荒れたり、乾燥を防ぎきれないという問題がありました。本技術は、コンクリートを打ち込んでから「生分解性高分子ゲル」を表面に散布する方法で、これまでの問題点が改善されました。

活用技術の優位性

  1. 1.急激な乾燥による収縮を抑制。ひび割れ防止効果

    ゲルによって湿潤状態が保たれ、表面の急激な乾燥による収縮が低減。ひび割れの発生を抑制します。

  2. 2.表層部分の品質が向上。強度と耐久性もアップ!

    ゲルの水分が徐々に蒸発する過程で、コンクリート表層部からの余剰水を吸水します。これにより、コンクリートの表層組織が綿密となり、強度と耐久性が向上します。

  3. 3.環境負荷が小さい

    ゲルの成分は植物由来のもので、微生物により数日から数カ月の間に自然に分解されるため、環境への心配も少なく、安心な材料です。

本工法はすでに、防波堤や桟橋など、風が強く乾燥しやすい環境における構造物の建設において採用されており、品質向上が確認されています。

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