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工学部の教育研究上の目的、養成する人材像


本学の創立者である松前重義博士は、内村鑑三の教えを受けて教育事業を志し、科学技術の振興を通じて産業立国に寄与することを目指し、1943年に本学園の前進である航空科学専門学校を開校した。1946年には旧制東海大学理工学部と経文学部が文部省から許可された。そして、1950年には工学部、文学部から成る新制大学として学校法人東海大学が発足した。 当初、工学部には電気工学科、応用理学科、建設工学科が開設されたが、その後、順次学科が増設され、電気工学科、制御工学科、通信工学科、電子工学科、応用物理学科、原子力工学科、光学工学科、工業化学科、金属材料工学科、建築学科、土木工学科、動力機械工学科、生産機械工学科、精密機械工学科、航空宇宙学科、経営工学科の16学科から成る日本最大規模の学部に成長した。

1991年の大学設置基準の大綱化以降、学部学科組織の見直しが検討され、2001年4月には電気工学科、制御工学科、通信工学科、電子工学科、経営工学科を中心に改組転換され「電子情報学部」が誕生した。一方、工学部の学科についても再編され、工学部は生命化学科、応用化学科、応用理学科光工学専攻・エネルギー工学専攻、材料科学科、建築学科、土木工学科、精密工学科、機械工学科、動力機械工学科、航空宇宙学科の10学科2専攻で構成された。2006年4月には、応用理学科光工学専攻・エネルギー工学専攻を廃止し、両専攻を光・画像工学科、エネルギー工学科として独立した学科とした。 また、電気電子工学科を開設した。さらに、国内初のケースとして、工学部に航空パイロットを養成する専攻を開設することになり、航空宇宙学科に航空宇宙学専攻と航空操縦学専攻の2専攻を開設した。航空操縦学専攻の開設は、航空科学専門学校として1943年に始まった本学の歴史を顧みるものがある。この改編により、2006年4月から工学部の構成は12学科、2専攻となった。2010年エネルギー工学科を「原子力工学科」に名称変更し、医用生体工学科を新たに設置し、13学科2専攻となった。

創立者松前重義博士は、我国の工業教育が単なる専門技術の修得のみに偏り、文系の一般教養を軽視し、幅広い教育をなおざりにしてきたことが技術者の社会的評価を低下させた要因と反省し、本学の建学にあたっては、理工系学生には文科系の学問にも目を向けさせ、逆に文系学生には科学技術の基本的常識と合理的思考力を身につけさせることを通じて、確固たる人生観、世界観、歴史観を持てるような全人的教育の重要性を認識させることを目指した。このため、工学部では、一貫して一般教養の中心に精神文明と物質文明の調和を基調とする松前重義博士の提唱した「現代文明論」を最も重要な基本的な科目として捉え、その上で最先端の科学技術を伝授することにより、学生が使命を自覚し、進んで国家、社会の建設と文化創造の担い手となり、自らも勝利する人生を得ることのできる本来の技術の専門家となるよう教育にあたってきた。最近の混迷する大学教育に対する批判に対応した大学改革の動きと、一般教育と専門教育の垣根の撤廃を中心とする教育内容の大綱化の流れは、工学部のこれまでの教育方針の正しさを証明したことになる。しかし、具体的な専門教育の内容と手法については学生の多様な志望動機、科学技術の急激な進歩と変化に合わせて常に改善する必要がある。

工学部では、従来の固着した形式的、画一的教育を斥けて、個々の人格と個性を尊重し、思考を高めるため、これまでの復習型から予習型の授業展開を図り、同時に学生自身の自主選択学習の機会を多くし、学生自らの目的意識の高揚に努めている。従って、できる限り必修科目を軽減して選択科目を増やし、専門科目は勿論のこと基礎教育科目の修得にも十分対応できるカリキュラムとしている。また、一般教養は「現代文明論」を中心にし、その周辺に総合教育科目を再編成し、従来の学問名称に捉われない魅力ある講義科目を数多く取り入れた。さらに、社会全体の情報化に対応してコンピュータ関連の基礎と応用科目の充実に努めている。

以上のような教育方針並びに教育目標に対し、効果的で充実した授業を行うため、工学部では授業科目ごとに各科目について授業内容を表すシラバスを作成し、授業の開始前に学生に公表している。また、教授陣には本学部の経験豊かな専任教員に加えて、必要に応じて他大学や企業等の研究所や実務部門から、第一線の研究者、最新の技術動向に詳しい技術者を招聘し、時代に即応した魅力ある講義を心掛けている。また、創造性を養うために本学部では実験科目の充実に力を入れている。より高度な技術者を望む学部学生諸君は、自らの目標を定め、大学院へ進学し、さらに研鑚して欲しい。

工学部が養成しようとする人材

東海大学が1946年に旧制東海大学として発足したとき、工学部からスタートし、現在もなお、全学生数のうち60%以上を理工系、自然科学系の学生が占める。この背景には、創立者松前重義博士が東海大学を建学する際に「科学技術立国日本」という明確な我国の姿を描いていたという事実がある。しかし、「工学部の教育方針と教育目標」で述べているように、工学部は単なる技術者養成を目指しているわけではない。

科学技術が日常生活に広く、深く浸透している現在、科学技術に関する基本的な知識はいかなる分野においても必要不可欠であるといってもよい。資源、エネルギーの殆どを、また食料の60%以上を海外からの輸入している日本は、付加価値のある関連技術や商品、サービスを創り出し、これらを輸出し、得られた利益で資源、エネルギー、食料を購入している。したがって、日本は常に付加価値のある技術、ものを創り出しながら生きて行く宿命にあるといってよい。

工学部は伝統的にものづくり技術に向けた人材育成教育を行ってきた。しかし、今日の日本社会、あるいは国際社会をみれば、単なるものづくり技術教育だけでは不十分であり、より独創的な発想、そして発想を実現化し、高付加価値の技術を実現化する力、問題を見い出し、解決する力をつけさせる人材教育が必要である。そのためには、理工系以外にも広い視野を持つことが重要であり、東海大学工学部では学生諸君が一般教養科目、文系科目についても履修するように指導している。

さらには、国際社会で活躍するために必要な英語をはじめとする外国語の取得も不可欠な要素である。現在、工学部では全学科で英語による授業を開講する準備を進めており、すでにいくつかの学科において英語による講義が実施されている。大学院工学研究科修士課程の各専攻では英語による講義も行われている。また、国際社会で活躍できる人材を育成するためには、英語による講義だけではなく、留学生をより多く受け入れ、日本人学生諸君に異文化を身近に感じさせる効果も必要であり、留学生の受け入れ増加を目指している。

東海大学は、東西冷戦中も、旧ソ連、旧東欧圏の学生、研究者を受け入れた国内唯一の大学であるが、それは創立者松前重義博士の世界平和の実現に向けた取り組みであった。世界平和の実現は困難であろうが、国家、政治、宗教、人種を超えて世界平和を目指す活動こそが東海大学のミッションである。1986年、東海大学が事務局となり、第1回アジア環太平洋大学長会議を開催し、これまで20年以上にわたり「東西冷戦の中で大学は何ができるのか?」、また冷戦後は「地球環境改善のために大学は何ができるのか?」をメインテーマとして、グローバル社会における平和実現を目指した活動を継続している。

以上のように、東海大学の建学以来の思想を基調として、グローバル化した社会で活躍できる技術者を養成することを目的とし、工学部においては、専門基礎科目の取得に加え、教員と少人数の学生で行うゼミナールや卒業研究といった実践的教育を通して、工学および工学以外の広領域に関する基本的知識の取得、国際的センスの養成、科学技術と人間性の調和を常に考え、行動できる人材育成を目指している。こうした理念の下、「技術者としてのモラルと使命」、「自然科学についての基礎知識」、「時代の変化に対応する応用技術を理解・表現する基礎能力」を身に付けた人材を輩出する。


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