寿都町の北海道臨海実験所で研究発表会を開催しました

生物学部海洋生物科学科では、本学が北海道寿都町に設置している北海道臨海実験所を活用した研究報告会を2月19日に開催しました。この催しは、本実験所における研究活動の成果を地元市町村役場や漁業協同組合、漁業者、一般市民の皆さまに知ってもらうと同時に、地域の方々とのコミュニケーションを通じた研究課題の掘り起こしを目的として、2013年度から寿都町と留萌市にある2カ所の臨海実験所でそれぞれ行っているものです。

会場となった実験所の講義室には地元の寿都町役場の職員、寿都漁業協同組合の職員・漁業者ほか、近隣の島牧村役場や島牧漁業協同組合、北海道庁後志振興局水産技術普及指導所の職員、水産加工会社・建設会社の社員ら計42名が参加。まず、臨海実験所所長を務める本学部の櫻井泉教授が、今年度の活動内容と来年度の活動計画を報告しました。続いて、櫻井研究室に所属する海洋生物科学科の4年次生7名が研究成果を各15分ずつ発表し、続いて10分程度の質疑を行いました。

指導する櫻井教授は「今回の成果発表会では、研究テーマが多岐にわたっていたにもかかわらず、多くの出席者から各テーマの有機的なつながりを意識したご意見をいただきました。とりわけ、寿都町沿岸では大型海藻が生えないことにより漁業生産の低迷が続く磯焼け現象が深刻な問題となっています。その中で、稚魚類の生物生産の向上策として藻場造成だけでなく落ち葉堆積場の保全や整備が重要になることや、磯焼けの持続要因としてキタムラサキウニに並んでクボガイやコシダカガンガラの海藻に対する摂食圧が無視できなく、これらの食用利用を通じて磯焼けの緩和を考えるべきであること、さらにはヨコエビ類の生産性の高さを今後も維持していく上で必要な環境条件を明らかにすべきであることなどは特筆に値するご意見でした。今回の討論を踏まえ、本臨海実験所では、今後も地域連携による課題解決に取り組んでいきたいと考えています。また、今回参加した4年次生も討論を通じて自分たちが取り組んだ研究成果が地域の問題解決につながっていることを認識できたのではないかと思います。今後も本学が地域産業の活性化に貢献すべく、成果報告会を続けていきます」と話しています。

【2017年度 研究報告会 議題】
1.2017年度活動報告と2018年度活動計画について(臨海実験所長 櫻井 泉)
2.2017年度研究成果について
(1)寿都漁港周辺の藻場における葉上性端脚類の群集構造(稲村瑞穂=4年次生)
(2)寿都町樽岸における落ち葉堆積場の重要性(河合史佳=同)
(3)寿都湾におけるホタテガイ養殖場の環境評価(佐藤真実=同)
(4)空気ポケットフェンス施設を用いたマナマコの給餌飼育(小里佳輝=同)
(5)ホタテガイの濾水速度に及ぼす水温と餌料濃度の影響(藤原章平=同)
(6)寿都町矢追におけるコシダカガンガラの生活年周期と海藻群落形成への影響(澤大和=同)
(7)寿都漁港周辺のガラモ場に生息する稚魚類の食性(島津毅=同)

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