公開講座「ロボットで拓く未来生活 東海大学におけるロボット研究」を開催しました

東海大学では11月1日に湘南キャンパス17号館ネクサスホールで、公開講座「ロボットで拓く未来生活 東海大学におけるロボット研究」(主催:大学院総 合理工学研究科、工学研究科、工学部、情報理工学部、共催:神奈川県)を開催しました。神奈川県の地域活性化総合特区である「さがみロボット産業特区」に 本学工学部、情報理工学部の教員らが協議会メンバーとして参画するなど、県下のロボット産業推進活動にかかわっていることを受け、同県と共催で実施したも のです。「未来のロボットハウス」をテーマに、神奈川県の黒岩祐治知事による講演をはじめ、本学でロボットに関係する分野を専門とする教員と企業の代表者 らによるパネルディスカッション「未来生活とロボット」、研究紹介、展示などを通じて、最新情報と問題提起をしながら、本学における幅広いロボット研究に ついて紹介。建学祭期間中でキャンパスがにぎわう中、地域住民や学生ら約100名が来場しました。

「未来のロボットハウス」をテーマに講演した黒岩知事は、超高齢社会を乗り越えるために神奈川県が掲げる施策「ヘルスケア・ニューフロンティア」について 紹介。「最先端医療と最新技術の追求をすることで個別化医療の実現」と「未病を治すライフスタイルの見直し」という2つのアプローチを融合することで、健 康寿命日本一と新たな市場・産業の創出を目指す「神奈川モデル」について解説しました。その中で、製品化を重視したロボット開発に向けた実証実験におい て、従来の規制を緩和した「さがみロボット産業特区」の取り組みについて触れ、「病気になる前の段階である”未病”の見える化や一人ひとりの健康状態を把 握できるシステムを開発し、手塚治虫が漫画の中で書いた「未来の家」のように、生活の中にロボットを取り入れることで、ヘルスケア・ニューフロンティアを 進めたい。さらに神奈川県をハブにして国際的な連携を進めることで、経済的な効果も期待される」と語りました。

続いて行ったパネルディスカッションには、黒岩知事をはじめ医学部の寺地敏郎教授、情報理工学部の増田良介教授、医療技術短期大学の中田芳子教授、ダブル 技研株式会社代表取締役の和田博氏が登壇。工学部の山本佳男教授の進行で、ロボットが導入されることによる生活の変化や一般社会へのロボット普及の可能性 などについて意見を交わしました。黒岩知事は、「人々がロボットへの理解を深め、ニーズを高めることでロボット開発が進む」と話し、手術支援ロボット 「ダ・ヴィンチ」を使った前立腺がんの手術に取り組む寺地教授は、「医療分野においては安全な普及を図っていく必要がある」と提唱。在宅介護などにおける ロボット活用の可能性について紹介した中田教授は、「どのようなロボットが開発されているのか、専門外の人でも知れるような情報発信が必要。介護の現場で もロボットを受け入れるための体制を整えなければならない」と語りました。また、ロボット工学が専門の増田教授は、これまで開発してきたロボット技術に触 れ、「実生活に本当に役立つロボットを開発することはもちろん、手軽で楽しいものである必要がある」と語りました。神奈川県内でロボットの開発・販売を手 掛ける和田氏は、「価格や性能、使いやすさをトータルで考える必要がある。さらにメーカーとしては、アフターケアも重要」と専門家の視点から言及しまし た。

後半の講演では、寺地教授が「泌尿器ロボット支援手術の現況と展望」、工学部の甲斐義弘准教授が「東海大学甲斐研究室における安全ロボット技術の開発」、 情報理工学部の稲葉毅教授が「人と機械をつなぐ最新技術」と題してそれぞれ、ロボット活用や開発の現状、今後の課題について紹介。講演後には来場者からの 質問が相次ぎました。さらに会場では、工学部や情報理工学部をはじめ、理学部と海洋学部で研究開発されているロボットの展示ブースも設置。熱心に見学する 来場者の姿が見られました。講座の運営を担当した情報理工学部の稲垣克彦教授は、「この機会に本学のさまざまな学部、専門分野で取り組まれているロボット に関する研究について多くの人に知ってもらえたのでは。今後は神奈川県との連携を深めるとともに、学部学科を横断した新しい研究にも取り組んでいきたい」 と話しています。

公開講座「ロボットで拓く未来生活 東海大学におけるロボット研究」を開催しました

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