「2017年度 東海大学To-Collaboプログラム最終報告会」を開催しました

東海大学では2月16日に、「2017年度 東海大学To-Collaboプログラム最終報告会」を開催しました。本学では13年度より文部科学省の「地(知)の拠点整備事業」(大学COC事業)に採択された「To-Collaboプログラムによる全国連動型地域連携の提案」において、4計画8事業を柱とした地域連携活動を推進してきました。 今回の報告会は5年間の総括として実施したもので、当日は湘南キャンパスをメーン会場に、高輪、清水、熊本、札幌の各キャンパスともテレビ会議システムでつなぎ、学生や教職員、地域住民ら合わせて約200名が聴講しました。

はじめに、現代教養センターの木村英樹所長(前To-Collabo推進室長)が開会のあいさつとしてTo-Collaboプログラムの概要などを説明。続いてソーシャル&エコ・マガジン『ソトコト』編集長の指出一正氏が「ぼくらは地方で幸せを見つける」をテーマに講演しました。指出氏は、地方における若者たちのローカル・ムーブメントを精力的に取材してきた経験から、「都市と地方の二項対立は終わり、日本全国が“地域化”したいま、地方や移住という言葉は終わったコンテンツになりました。地域を面白くするのは国の政策ではありません。自分の街を面白くするのは自分以外の何者でもないのです」と語り、地域を盛り上げるためには単眼的な視点ではなく複眼的な視点で物ごとを見ること、“観光以上移住未満”の『関係人口』を増やすことが大切と説明しました。

続いて「若者×地域×未来」をテーマに、指出氏と山田清志学長が対談。進学や就職で東京に行くのが当たり前だった時代から地方と都市の関係性が変わってきている現状や、移住や定住が頭打ちになり、関係人口を増やして地域を盛り上げる必要があるといった意見を語り合いました。指出氏は11年にソトコトの編集長に就任した当時を振り返り、「スローフードやロハスがかっこいいと考え、それらを売りにした編集方針で雑誌を作っていましたが、ロハスとは『自分にとって快適で地球にやさしい生活』と訳される、個人主義の極みです。私は自分が幸せになるためには周りの人も幸せでなければならない、それが社会の幸せにつながるという考えから『ソーシャル』をキーワードに掲げました」と語ります。「いま、地域やまちづくりにかかわっている若い人たちは、『マイパブリック』という言葉を大事にしています。公共の場が楽しくならなければ街が楽しくならない。自分だけが楽しくてもかっこ悪いという考え方です」と紹介しました。山田学長が、「本学は3万人の学生が通う大きな大学ですが、小さなセグメントを重ねていかないとマイパブリックは完成しないでしょう」と問いかけると指出氏は、「3万人ほどの社会が実は一番変えやすい。若い人たちは地域や社会のことを考えていますが、大人がそれを許していないのが現状。学生が面白いと思うことができる社会にしていきたい」と力説しました。

第2部では、8事業のうち6事業の代表教員が登壇し、「To-Collaboで育んだ4つの計画8つの事業」をテーマに議論。各事業の5年間を振り返り、事業の成果や今後の課題を報告しました。自身も「ライフステージ・プロデュース計画 大学開放事業」の代表者として登壇した地域連携センターの池村明生所長は、「To-Collaboプログラムとしての活動は今年度で終了しますが、5年間で築いてきた基盤を今後いかに生かしていくか、学生の教育プログラムとして落とし込んでいけるかがが重要です」と総括しました。最後に、梶井龍太郎副学長(元To-Collabo推進室長)が、「4事業8計画は本学ならではのプログラムで、ほかの大学にはできない取り組みです。採択は終わりますが、各事業による取り組みはこれで終わりではありません。今後さらに地域の方々と協力しながらみんなでつくり上げていけるように、To-Collaboの関係人口を増やしていきたいと思います」と今後に向けた抱負を語りました。

<To-Collaboプログラム 2017年度大学推進プロジェクト(4計画8事業)>
「地域デザイン計画 安心安全事業」(代表=梶田佳孝教授/工学部土木工学科)
「地域デザイン計画 ブランド創造事業」(代表=後藤慶一教授/海洋学部水産学科)
「ライフステージ・プロデュース計画 大学開放事業」(代表= 池村明生教授/教養学部芸術学科デザイン学課程)
「ライフステージ・プロデュース計画 スポーツ健康事業」(代表=沓澤智子教授/健康科学部看護学科)
「観光イノベーション計画 地域観光事業」(代表=松本亮三教授/観光学部観光学科)
「観光イノベーション計画 文化・芸術事業」(代表=篠原聰准教授/課程資格教育センター)
「エコ・コンシャス計画 エネルギー・ハーベスト事業」(代表=福田紘大准教授/工学部航空宇宙学科航空宇宙学専攻)
「エコ・コンシャス計画 環境保全事業」(代表=藤野裕弘教授/教養学部人間環境学科自然環境課程)

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