平塚盲学校で石こう彫刻ワークショップを実施しました

課程資格教育センターでは10月12日から11月2日まで、神奈川県立平塚盲学校の生徒を対象に、石こう彫刻ワークショップを実施しました。神奈川県と本学が展開する「ともいきアートサポート事業(創作×地域展示)」の一つとして初めて行ったもので、彫刻家の高見直宏氏を講師に招き、本学からは同センターの篠原聰准教授と「博物館実習」を受講している学生約10名が参加しました。

4回に分けて行ったワークショップでは、高見氏が彫刻制作の進め方を説明したあと、2回目以降の授業で「自分の心をつくろう」というテーマで彫刻づくりに挑戦。生徒たちは1週間かけて自分の気持ちや思いについてイメージをまとめ、正方形の粘土を掘り進めて型を作り、石膏を流し込んで彫刻作品を作っていきました。4回目の授業では、石膏から粘土を外す作業を実施。水に浸しながら少しずつ粘土を外していき、最後に作品が現れると、生徒や学生たちは「やったね」「想像していたのとは違うけれど、面白い形だね」と話しながら、歓声を上げていました。作品が完成した後には、自分の作品の展示方法も考えて台座に配置。最後には、互いの作品を手に取って鑑賞し、「つるつるしている作品もあれば、尖っているのもあって面白い」「僕の作品はほかの人にどんなふうに感じられているんだろう」と口々に語っていました。

同校の教員からは、「先生方や学生さんがやさしくサポートしてくれたことで、児童たちにとってもとても取り組みやすいプログラムになったと思う。最初こそ緊張気味だった子どもたちも回を重ねるごとにワクワクしながら授業に参加するようになり、また、児童自身が自らの心とじっくり向き合う時間を持てるとても良い機会だったと感じています。東海大学はこのほかにも、本校の買い物体験の授業に学生さんが参加しているなど、日ごろから本校の活動をサポートしてくれていますが、こうした交流は生徒たちにとってとても大切な時間になっています」といった声が聞かれました。

また同事業を管轄する神奈川県の相場延弘副主幹(福祉子ども未来局共生社会推進課)は、「特別支援学校には芸術担当教員が常勤でいないところも多く、プロのアーティストの方から直接指導を受けながら芸術作品を作り上げていく経験はとても貴重な機会です。このワークショップを見て、今回の経験は子どもたちの心に大きな財産として残るだろうと期待をしています」と語っています。

児童をサポートした学生たちは、「こうしたワークショップは、新しい発想力を磨くためにもとても有効だと感じた」「児童の作品づくりを手伝いながら、『自分だったらどうするだろう』と自問する場面もあり、また子どもたちの柔軟性や想像力に驚かされる場面も多かった。4回目の鑑賞の際には、作品に触りながら鑑賞することで、視覚によるのとは違う、作品の魅力も体験することができました」と話していました。

なお今回児童が作成した作品は、3月1日から31日まで松前記念館(歴史と未来の博物館)で開催される展示会「手の世界制作展」(仮)で、高見氏らの作品とともに展示されます。