豊川悦司氏と貴島誠一郎氏によるトークショー「緒形拳の作品とその魅力」を開催しました

東海大学では11月21日に横浜市歴史博物館で、トークショー「緒形拳の作品とその魅力」を開催しました。教育開発研究センターの馬場弘臣教授と学生らが長年にわたって資料を整理し、準備してきた企画展「俳優緒形拳とその時代―戦後大衆文化史の軌跡―」(主催:東海大学、横浜市歴史博物館)の開催を記念したもので、俳優の豊川悦司氏とプロデューサーの貴島誠一郎氏が登壇。江戸家まねき猫氏が司会を務め、馬場教授と緒形さんのマネジャーだった岡田満世氏も交えたトークショーに、約90名が参加しました。

緒形さんと初めて会った際の印象などに続いて、貴島氏の連続ドラマ初プロデュース作品で、緒形さんと豊川氏の初共演作品となった『エ・アロール~それがどうしたの~』(2003年、TBS)について紹介。都内の高級高齢者住宅を舞台に入居者たちが繰り広げる奔放な恋愛騒動と豊川氏演じる院長の葛藤を描いたドラマで、馬場教授は、「名優たちの共演が見どころの一つ。高齢者問題や高齢者の恋愛事情など、当時はタブーとされていた問題にも切り込み、家族とは何かを考えさせる、今見ても色あせない素晴らしいドラマです」と解説しました。「俳優・緒形拳から芝居についてアドバイスをもらったことは?」との問いに豊川氏は、「僕は台本から芝居を変えて演じることが多いので、緒形さんに”やりにくくてすみません”と言ったら、”やりにくい芝居なんて存在しない。今やっているものは芝居じゃない。人間同士の話なんだ”とおっしゃって。後にも先にも演技について言われたのはこの1回きり。今でも心に残っています」と振り返りました。

貴島氏は、「豊川さんには『愛していると言ってくれ』などで主演を務めてもらい、次に何の作品に出てもらおうかと常に考えていました。そんな時、信頼する豊川さんと大好きな緒形さんを組ませたら面白いんじゃないかと思いついた。緒形さんは若い人が好きで、将来性のある俳優には”育ってほしい”という思いを持ってとてもやさしく接する人。エ・アロールで緒形さんがのびのびと演じていたのは、豊川さんがいたからこそでは」と語ります。豊川氏は、「親子ほどの年齢差だったと思いますが、本当にかわいがっていただきました。スタジオでもロケでも2人のシーンが多く、その分、一緒にいる待ち時間も多かったので、たくさん話をしました。僕はあまり話すタイプではないのですが、緒形さんが相手だと催眠術にかかったように不思議と話せてしまう」とその魅力を語りました。

馬場教授は、「お二人が緒形さんを愛していらっしゃるのが伝わってきたのと同時に、人間としての魅力がある方だったのだとあらためて感じました。豊川さんは東海大学に緒形さんに関する資料の整理を見に来てくれたことがあります。それだけ緒形さんのことを尊敬しているのだと感じました」とコメント。緒形さんが東海大でトークショーを開いた際のエピソードも披露し、「お二人の生の声で”人間・緒形”について聞けたことで、ますます緒形さんを好きになりました」と話しました。緒形さん出演のお勧めの作品について語った後、貴島氏は、「昔のちょっと怖い緒形さんも、優しい緒形さんも、どちらも作品を見れば会うことができます。皆さんの心の中にも緒形さんがいるのではないでしょうか」とまとめました。会場には「エ・アロール」で競演した俳優の三波豊和氏と同作の脚本を手がけた相沢友子氏も訪れ、一言ずつ作品や緒形さんの思い出を語りました。

なお、企画展は12月6日(日)まで開催しています。
https://www.u-tokai.ac.jp/about/campus/shonan/news/detail/post_1917.html
お誘いあわせのうえ、ぜひご来場ください。