総合社会科学研究所が研究報告会を開催しました

東海大学総合社会科学研究所は、3月7日東京・赤坂溜池タワーにて「第1回研究報告会・講演会」を開催しました。日本唯一のEコマース(電子商取引)学術研究機関である本研究所のEコマースユニットが、研究調査結果の発表や産官学の有識者による講演を通じて、ダイレクトビジネスの事業戦略を考える企業の上級管理職に向けた有益な情報提供・意見交換の場として開いたもので、約120名のEコマース事業関係者が参加しました。

開会にあたり、本研究所の前田成東所長があいさつに立ち、「昨年設立された社会科学研究所では、”Eコマース””知的財産””地域創造”の3分野で研究を進めています。今回はEコマース部門の中で特に注目を集めている”オムニチャネル※”に焦点を合わせて、報告会を企画しました。登壇される皆さんが活発な議論を交わされることを期待しています」と語りました。第一部の研究報告会では、昨年10月から本研究所に着任している小嵜秀信客員准教授が登壇し、「リーディングカンパニーにおけるオムニチャネル対応の実態と業績に与える影響」をテーマに講演。オムニチャネル化が進んでいる企業は、EC事業の業績の伸び率やEC化率が高い傾向にあることなど調査結果をもとに解説。今までオムニチャネルに関する調査・研究は、アメリカや日本の先駆的企業事例およびオムニチャネルの定義や概念を中心とした定性的な研究がメーンでしたが、今回の研究では、各企業のオムニチャネル対応度を数値化し、企業業績(会社全体、Eコマース事業単体)との相関関係を導き出す定量的な研究に日本で初めてチャレンジし、その結果を発表しました。また、聴講企業の方々へ、今後より精度の高い研究調査を継続して実施するために、企業の協力が不可欠であると協力を仰ぎました。

続いて、本学の卒業生である株式会社オートバックスセブン ネットビジネス推進部部長の小野田裕繁氏が「オートバックスにおけるオムニチャネルへの取り組み」と題し、オムニチャネル化推進の経緯や課題、解決策などについて実体験を交えて紹介。経済産業省商務情報政策局情報経済課の岡北有平氏からは、「オムニチャネル時代を迎えた日本のEコマースにおける現状」をテーマに、日本国内の市場調査結果や海外諸国の市場動向について講演いただきました。

最後は、登壇者3名による「パネルディスカッション」を実施。参加者からいただいた質問を中心に、「産官学それぞれへのリクエスト」や「30年後の日本のEコマース」など、産官学それぞれの立場からEコマースの現状と未来について意見を交わし合いました。

※オムニチャネル:実店舗だけでなくインターネットやSNS、アプリなどあらゆる顧客との接点を連携させて拡販するマーケティング戦略

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