東海大学マイクロ・ナノ啓発会【Tμne】が第5回学術講演会を開催しました

東海大学マイクロ・ナノ啓発会※(Tokai University Micro/Nano Enlightenment【Tμne】)が8月25日に伊勢原キャンパス松前記念講堂で、第5回学術講演会を開催しました。本学の医・理・工学部などの研究活動の相互理解を深めるため、社会連携イノベーションセンターと連携して実施しているものです。学内外の研究者が最新のライフサイエンスに関する研究成果などについて講演したほか、マイクロ・ナノ関連技術を研究・開発している学生や大学院生、教員らがポスター発表を行い、学内外から約220名が参加しました。

基調講演では、本学の名誉教授でジェノダイブファーマ株式会社の猪子英俊代表取締役社長が「強力な多型マーカーを用いればお宝の遺伝子を掘り当てられるか?―ゲノム多様性から個体差を知る―」をテーマに、ヒトの主要組織適合遺伝子複合体(HLA)抗原に注目したゲノム解析の経緯や現状について解説。続いて、京都大学iPS細胞研究所未来生命科学開拓部門特定拠点助教の渡辺亮氏が「シングルセル遺伝子解析による細胞運命決定の解明」と題して特別講演し、シングルセル解析の現状や今後の方向性について説明しました。また、理学部数学科の山本義郎教授が「ビッグデータ時代の統計的アプローチ」について、医学部の今西規教授(基礎医学系分子生命科学)が「ゲノム情報を生かした未来の医療診断技術」をテーマに、それぞれ講演しました。

講演会後は2号館に場所を移してポスター発表を実施。学生、大学院生らが81テーマにわたる研究成果を発表し、活発な質疑応答や意見交換を行いました。学生のさらなる研究促進や進学意欲の向上を図るために第2回から創設した「ポスター賞」は、全参加者の投票で4名が選ばれ、賞状が授与されました。

参加した学生からは、「2回目の参加ですが、ポスター発表の研究テーマが多岐にわたってきたと感じました」「他学部の学生とのセッションは、思わぬ発見があって刺激的でした」などといった声が聞かれました。世話人代表を務めた医学部の中川草助教(基礎医学系分子生命科学)は、「マイクロ・ナノ関連の技術革新により、ゲノム解読などライフサイエンス研究は大きく進歩し、さまざまな面で医療応用につながりつつあります。一方で、技術革新によって生み出された多様かつ膨大なデータをどのように解析するのか、という点がライフサイエンスを医療現場で活用する際の課題のひとつです。今回の講演でそのような解析に関する最新かつ多くの知見が得られたと思います」と振り返り、「伊勢原キャンパスでの開催を機に、本啓発会の取り組みを、より多くの医学部の教員や学生たちに認知してもらうことができました。マイクロ・ナノと医療の分野には接点が多い。今後も、医・理・工の連携をより強化していきたい」と話していました。

なお、「東海大学マイクロ・ナノ啓発会(Tμne)ポスター賞」の受賞者は以下のとおりです。

◇高分子超薄膜による注射針管内面の表面改質
川田健人(大学院工学研究科機械工学専攻修士課程2年次生)
◇裁断化ナノシートのスプレーコーティングと新規癒着防止材への応用
高野秀太(大学院工学研究科機械工学専攻修士課程1年次生)
◇コモンマーモセット胎盤における癌関連遺伝子TrkB、PD-1、PD-L1の発現
木南理仁(大学院医学研究科医科学専攻修士課程1年次生)
◇緑膿菌 OprM LOOP2 に対するモノクローナル抗体遺伝子の塩基配列の取得
矢野遥香(工学部生命化学科4年次生)

※東海大学マイクロ・ナノ啓発会【Tμne】
本学の理工系の若手研究者が、研究室間の連携を図り、理・工・医などの各分野で展開されているマイクロ・ナノサイズ領域における研究の相互理解を深め、斬新で独創的な研究テーマを涵養することを目的として創設した。

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