一般公開セミナー「草原あか牛”eco beef ASO”」を開催しました

農学部では、10月28日に熊本県熊本市のレストラン「イタリー亭」と同店2階の多目的スペース「ミヤモトホール」で、一般公開セミナー「草原あか牛“eco beef ASO”」(共催:一般社団法人阿蘇のあか牛・草原牛プロジェクト)を開催しました。本セミナーは、本学部が阿蘇地域の風土・文化特性を生かして開発した肉用牛「草原あか牛“eco beef ASO”」の生産から流通・消費までを教材にして、地域貢献を果たす過程を通じて学生の社会的実践力を育成しようと、九州キャンパス教育支援プログラム(※)の採択を受けて今年度から実施している「東海大学開発『草原あか牛“eco beef”』生産技術の体系的運営による地域貢献を課題とした PA 型教育による社会実践力の育成 」の一環で実施したものです。今回は、一般的に牛肉としての評価が低い子育てを終えた母牛(経産牛)の付加価値を見出そうと、「草原あか牛“eco beef ASO”」を題材に加工法と調理法について講演と試食会を行い、本学学生、教職員のほかに県内外の農家さんや百貨店のバイヤーら約60名が参加しました。

はじめに、プログラムに参加している農学部応用動物科学科の梅崎世成さん(3年次生)と角田充さん(同)が登壇しました。2名は今年度、ほかの学生たちとともに、座学だけでなく販売店での市場調査を行ったほか、食肉用の熟成現場を見学して学びを深め、このセミナーに向けて教職員とともにeco beefの取り組み内容について取りまとめてきました。本セミナーにおいては、春から秋にかけて阿蘇地域に広がる野草地で放牧し、冬の間は牛舎で草飼料を多めに与えるeco beefの育て方を紹介し、これによって阿蘇地域の草原も維持できることや、日本は輸入飼料に頼っているといった現状も解説しました。続いて、滋賀県を拠点に精肉の加工・販売を行う株式会社サカエヤの代表取締役社長・新保吉伸氏が、経産牛を牛肉として利用するための熟成技術をわかりやすく解説し、学生だけでなく農家さんとの活発な意見交換を行いました。第2部では、リストランテ・ミヤモトのオーナーシェフである宮本健真氏が、赤身肉のおいしさを最大限に引き出す調理法を紹介し、実際に調理をして参加者にふるまいました。

学生たちの指導に当たる応用動物科学科の樫村敦講師は、「多くの人は、脂がのっていてサシの入っている牛肉がおいしいというイメージを持っています。しかし、エサ代や施設などのコストが少ない野草地放牧で牛が「牛らしく」育った赤身肉や、そこで子どもをたくさん産んで役割を終えた経産牛の赤身肉も、肉の状態に合わせた熟成、その肉のおいしさを理解した調理法で、旨味を引き出しておいしく食べることができます。一般的に赤身肉や経産牛の肉は安く取引されていますが、このような新しい価値観で評価していくことが、農家さんだけでなく、これからも続けていけるような風土に合った畜産のためには必要だと思います」と語ります。さらに、「現在、eco beefは東海大学と阿蘇のあか牛・草原牛プロジェクトで連携して育てています。今後は、プログラムに参加している学生たちとともに認証制度を確立し、より地域に根付いた活動をしていきたい」と話しています。

※九州キャンパス教育支援プログラム=九州キャンパスの経営学部、基盤工学部、農学部の各学科、センターの教員が主体となり、地域社会に対して魅力ある教育活動の展開を推進することで、学生の学習効果の向上や地域社会で活躍する人材の育成につなげようと2008年度から実施しているもの

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