総合農学研究所の今川教授が大規模学会で講演を行いました

2018年09月10日

8月19日に東京ガーデンテラス紀尾井町で開催された、不妊治療や生殖生物学に関する学術集会「第17回生殖バイオロジー東京シンポジウム」では、教育講演「着床からのアプローチ」(共催フェリング・ファーマ株式会社)に登壇。産婦人科医や胚培養士ら生殖医療関係者約250名を前に、「動物を通じて着床を改めて考える」と題して講演しました。ウシなどの家畜の繁殖が専門の今川教授は、日本における生殖生物学、生殖医学のパイオニアで、同シンポジウムの代表を務める鈴木秋悦博士から依頼を受け、第8回から毎年講演を担当しています。今川教授は、ヒトの生殖技術における人工授精を行う際に成功の可否を分ける着床について言及。「ヒトが人工授精、体外受精を行う際に妊娠率(受胎率)は30~40%程度であり、人工授精による受精率95%を考えると約半数の初期胚が早期胚死滅に至っている。妊娠初期は、初期胚の子宮内膜への着床や初期胎盤が形成されるが、多くの初期胚が子宮内膜への着床前後期に妊娠を継続できていない」と指摘し、「着床期における子宮内環境の構築が重要」と語りました。

総合農学研究所の今川和彦教授が8月、各地で開催された大規模学会で講演。参加者から大きな注目を集めました。動物育種繁殖学が専門の今川教授は、アメリカ・カンザス州立大学医学部准教授や東京大学大学院農学生命科学研究科教授を経て、今年度より本研究所に着任。熊本キャンパスで教鞭を執り、教育研究に従事しています。

また、29日から9月1日まで札幌コンベンションセンターで開かれた「第30回世界牛病学会2018札幌」では、世界各国から約1300名の研究者が集う中、日本の研究者では唯一、キーノートスピーカーを務めました。今川教授は「ウシの妊娠着床」をテーマに、研究室で持つ最新のデータを示しながら妊娠率の向上について語りました。

今川教授は、「生殖バイオロジーシンポジウムに基礎研究の分野から毎年講演を依頼されているのは私だけであり、また、世界規模の学会において日本人として唯一人キーノートスピーチを務めるなどこれまで取り組んできた研究の成果が認められて大変光栄です。さらに研究者向けSNSである『ResearchGate』では、本学の研究者ではもっとも論文を読まれていることから、私の研究が多くの注目を集めていると感じています。『子宮内環境の構築と再構築』というテーマでは、着床期の牛妊娠子宮潅流液の分析から子宮内環境を整えるために必要なタンパク質を8種類まで絞り込むことに成功しています。今後、これらの候補因子群を3~5種類まで絞り込むことができれば、ヒトにおける妊娠補助剤への応用も期待できます。今後も企業との産学連携研究に積極的に取り組み、この研究を推進していきます」と語っています。

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