材料科学科・宮沢教授が神奈川県立産業技術総合研究所の産学工連携事業化促進研究に採択されました

工学部材料科学科の宮沢靖幸教授の研究が6月4日、神奈川県立産業技術総合研究所の産学工連携事業化促進研究に採択(継続)されました。この事業は、今後成長が期待される産業分野において中小企業などの開発ニーズと大学の研究シーズのマッチングをコーディネートし、事業化を促進することが目的です。宮沢教授は、関東冶金工業株式会社と共同で研究している「不均一加熱によりカーボン・カーボン複合材料(C/C)と金属材料のろう付を実現する新規工業炉の開発」のテーマで採択されました。

C/C複合材料は炭素繊維を炭素で強化したもので、軽量で高い強度や断熱性を持つ次世代の材料ですが、現在はスポーツカーのブレーキパットなど一部の分野でしか利用されていません。C/C複合材料により硬度の低い銅などの金属をろう付できれば、利用範囲が広がると期待されていますが、現在のところ効果的な手法が確立されていないのが現状です。そこで宮沢教授らは、C/C複合材料と異種材料の間を密着させて接合するのではなく、意図的に空間を設ける「不均一加熱法」を研究。昨年度の研究で、関東冶金工業の炉を使って不均一状態を作り出すことに成功しています。今年度はさらに研究を進め、不均一加熱炉の実用化に必要な技術の開発を目指します。

宮沢教授は、「ろう付の分野ではこれまで、材料同士をいかに密着させるかという視点から研究が進められてきましたが、C/C複合材料と異種材料を密着させるとどうしても割れてしまうという問題がありました。そこで、この研究ではあえて逆転の発想を用いることで、不可能を可能にすることを目指しています。不均一加熱法が実現できれば、狙った場所だけをろう付できるほか、短時間でのろう付も可能になるなど、多くの可能性が広がっていきます。研究では、佐々木俊哉さん(大学院工学研究科応用理学専攻2年次生)をはじめ、研究室の学生たちも大いに貢献してくれており、彼らとともに新技術の実現を目指したい」と話しています。