大学院工学研究科機械工学専攻の学生が「The World Tribology Congress」でBest Poster Awardを受賞しました

大学院工学研究科機械工学専攻2年次生の小田桐遼さんと明戸洋介さん(指導教員=工学部機械工学科・橋本巨教授、落合成行教授、砂見雄太講師)が、9月21日に中国で開かれた「6th World Tribology Congress」でBest Poster Awardを受賞しました。この学会は、金属などの物質間で生じる摩擦や摩耗を調べる「トライボロジー」を手掛ける世界各国の研究者が一堂に会する国際会議で、4年に1度開かれています。

小田桐さんは、精密機械の回転部に広く用いられている空気軸受という技術を研究しています。金属同士を接触させる通常の軸受では、焼き付きや摩耗によって接合部が劣化してしまう欠点があります。一方の空気軸受では、軸受けの構造を工夫することで軸の回転時に生じる空気の流れによって動力を伝達できる仕組みになっています。小田桐さんは従来よりも高効率で動力を伝達できる新たな軸受の提案について発表しました。この技術は現在特許も申請しています。

一方明戸さんは、タービンの回転部に用いられている「ドライガスシール」という技術を研究しています。発電所などにあるタービンでは複数枚の羽根を同時に回しますが、それぞれの羽から発生する空気の流れが相互に干渉すると効率が落ちてしまうという課題があります。「ドライガスシール」はそれを防ぐために、溝の形状や軸受と羽の軸の距離をμm単位で調整。これによって、空気の逆流などで生じる相互干渉を防ぎ、高効率なエネルギー伝達を可能にする技術です。明戸さんは、軸と接触しない非接触型の軸受に溝を掘って高効率化したものを用い、64mmの半径で軸とのすき間が60μm(髪の毛1本分くらい)のシールを毎分2000回転させた際の空気の流れを可視化する技術の研究成果を発表しました。

小田桐さんは、「私が手掛けている研究では、軸受と軸を非接触の状態で動かせるようになるまでに3年間かかっており、受賞は先輩方や仲間の努力や協力の積み重ねの上に成り立っているものです。先生方はもちろん先輩や仲間たちにも感謝しています。これまでもまだ世の中にない新しいものを生み出そうと研究する中で培った力を生かし、社会人になってからも社会に役立つよりよい製品の開発に携わっていきたい」と話しています。また明戸さんは、「学会では各国の研究者と英語で会話する中で、有意義な意見交換ができました。学部生のころから取り組んできたこの研究が評価され、4年に1度しか開かれない学会で受賞できたことは、大学生活で得た大きな“華”になったのではないかと思います。研究室ではとにかく一生懸命に課題に取り組む能力がついたと感じています。今後もこの力を生かして努力を続け、困ったときには同僚から頼られる技術者として社会に貢献したい」と話しています。

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