ヨーロッパ文明学科の金沢百枝教授が「サントリー学芸賞」を受賞しました

2016年12月14日

文学部ヨーロッパ文明学科の金沢百枝教授の著書『ロマネスク美術革命』(新潮選書)が11月10日に発表された第38回「サントリー学芸賞」の「芸術・文学部門」に選出されました。この賞は、公益財団法人サントリー文化財団が広く社会と文化を考える、独創的で優れた研究、評論活動を行った個人を顕彰することを目的として、1979年に創設したものです。前年1月以降に出版された著作物が対象で、「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」「思想・歴史」の4部門に分かれています。贈呈式は12月14日に東京都内で行われました。

金沢教授はヨーロッパ中世美術史が専門で、10世紀末から12世紀を中心とする「中世」に各地で建造された教会に残されているモニュメントや、意匠に隠された意味などについての研究に取り組んでいます。ローマ時代と15世紀のルネッサンスをはじめとする写実的な芸術を重視する時代の合間に残されたこの時代の魅力を発信する著書も多数執筆してきました。今回の著書は、これまでの研究の集大成としてまとめたものです。各地が豊かになり地域の小領主が勃興し、一つひとつの村に教会が建設されてく過程において、芸術家たちがそれまでの規範の枠にとらわれることなく、写実性よりもメッセージの受容者がモチーフの意味を捉えやすくすることを重視していたことや、職人たちが各地の技術を使いこなすために試行錯誤した、この時代の姿を描き出しました。

金沢教授は、「美術史の本流とは異なる分野についてまとめた本書を高く評価していただき、今後の研究に希望を持つことができました。日本ではヨーロッパ中世というと暗黒の時代というイメージを持たれがちですが、中世後期以降の中央集権が進んだ時代とは異なり、人々が知恵と技術を駆使しながら芸術や社会をつくり上げた時代であり、私自身はこの時代こそが『ヨーロッパの春』だったのではないかと考えています。一方で美術品は、一部の巨匠だけではなく、特別ではない多くの人々によって生み出されてきたという側面があります。これからも名もない人々に目を向けるという視点を大切にして研究を続けていきたい」と語っています。

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