大学院生と学生が「JAしみず女性部 SDGs勉強会」で講演しました

大学院総合理工学研究科の横山由香さんと海洋学部4年次生の寳樂和樹さんが、11月16日に静岡市清水区のJAしみず本店で行われた「JAしみず女性部 SDGs勉強会」で講演しました。農家や、食や農業に関心のある清水区内の女性らが参加するJAしみず女性部から依頼を受けたもので、レジ袋の有料化や、普段使用しているポリエチレン系の農業資材を題材に、プラスチックごみが与える海洋汚染問題について知り、SDGsの取り組みを意識する契機にすることが目的。東日本大震災以降、東北で海洋調査を続けている海洋地球科学科の坂本泉教授の研究室に所属する2名が登壇し、女性部役員とJAしみずの職員合わせて20名が聴講しました。

横山さんと寳樂さんは、「プラスチックごみが与える海洋汚染問題」と題して講演しました。初めに、年間約3億tのプラスチックが生産され、1人当たりの年間消費量は数10kgにおよぶことや、毎年800万t以上のプラスチックが海へ流れているといった現状を紹介。「海ゴミの7割から8割は町で捨てられたごみが水路や川に流れ出し、海にたどりついています。2018年の環境省の統計では、海洋ゴミの約65%プラスチックが占めているという結果も出ています」と話しました。7月からレジ袋が有料化されたことや、2015年に国連が策定した持続可能な開発目標「SDGs」についても触れ、「海の豊かさを守ろう」という項目があることや、それによって海岸清掃など身近な取り組みが行われている例も紹介。海洋研究開発機構(JAMSTEC)の画像などを引用しながら、海の中にもビンや缶、ビニール袋のほか、洗濯機などの大型ごみが落ちていることを報告し、駿河湾での調査の様子を紹介するとともに、深海を撮影した動画も上映しました。さらに、5mm以下の「マイクロプラスチック」が海洋生物や人体に影響を及ぼしている点にも言及し、駿河湾の深海魚を解剖したり、海岸を歩いたりして回収したマイクロプラスチックも紹介。清水キャンパスの前で採取した砂をビーカーに入れ、水を入れる実験では多くのゴミが浮き上がり、参加者からは驚きの声が上がりました。2人は、「一度流れたごみを回収することは難しい。豊かな海を守るためには街中にごみを捨てない、きちんと回収することが大切です」とまとめました。

婦人部から、コロナ禍での学生生活についても教えてほしいと要望があり、2人はアルバイトが減って収入が少なくなり困っている友人がいることや、長年東北で続けてきた調査も感染拡大防止の観点から今までのようにはできていないといった現状を話しました。講演後には、手もみの茶葉を水出しした貴重なお茶が振る舞われ、学生たちは初めて体験する甘みと香りを楽しんでいました。