高田高校海洋システム学科の生徒を対象にした出前授業を行いました

海洋学部の学生が6月30日に岩手県・広田湾で、県立高田高校海洋システム学科の生徒を対象にした出前授業を実施しました。海洋地球科学科の坂本泉准教授の研究室と海洋生物学科の田中克彦講師は、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)などが手掛ける東北マリンサイエンス拠点形成事業「海洋生態系の調査研究」の一環で、2012年から東日本大震災で被害を受けた三陸沿岸域の海洋環境調査を行っています。14年からは、JAMSTECとともに調査結果を地域に還元するべく、同高で出前授業を定期的に開催してきました。

これまでの出前授業では、講義とともに本学の学生たちが事前に採取した底質材料などを同高に持参し、実験などを行ってきましたが、今回は初めて同高の生徒も乗船し、湾内での調査に挑戦しました。生徒たちは、採泥機を用いた底質試料採取や底生生物試料採取、海水の水温や塩分などを調べる中で、実際に機器の上げ下ろしなどを体験しました。坂本准教授は、「私たちの調査や研究を現地の若い世代に伝えていくことで、将来は彼らだけでこの地域の海洋環境を調べ、漁協や海洋利用者に対し、得た情報を発信できるようになってほしいと考えています。復興の形はさまざまですが、彼らが自立して海洋従事者や地域住民に貢献できるようになることも、復興の形ではないでしょうか」と語り、「三陸沿岸域での調査は学術的な成果はもちろん、本学の学生たちの成長に大きくつながっています。調査期間の前半では機器の準備をする私たちの周りで立ち尽くしてしまう学生もいましたが、あっという間に機器の使い方を覚えると、自分たちで考えて行動するようになりました。生き生きと調査する彼らの姿を見ると、被災地を訪れて現場を調査することへの使命感を持って動いているようにも感じます。これからも地域への貢献や学生の成長、学術的な成果を挙げられるよう、調査を続けていきます」と話していました。

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