魚の美味しさを客観的に可視化する研究で「シーズ&ニーズビジネスマッチング研究発表会」の最優秀賞に選ばれました

海洋学部水産学科食品科学専攻の後藤慶一教授とゼミの学生3名が、9月27日にホテルプリヴェ静岡ステーションで開催された「シーズ&ビジネスマッチング研究発表会―健康長寿食品・生物産業の推進―」のショートプレゼンテーションとポスターセッションで、「魚の美味しさを客観的に可視化―官能的、物理化学的な特徴をもとに多変量解析でマッピング―」について発表し、最優秀賞に選ばれました。同発表会は、静岡県内の大学や公設試験研究機関のシーズと企業ニーズのマッチングを目的に、静岡大学食品・生物産業創出拠点と静岡県食品技術研究会、静岡県工業技術研究所、静岡県食品産業協議会が主催しています。

会場では終日、大学や研究機関などによる研究発表と、企業による開発事例の紹介などが実施され、後藤教授は「食品の美味しさを客観的に可視化する~刺身を用いた検討~」と題して発表。「近年、日本人の魚離れが深刻ですが、ヘルシーでさまざまな機能性成分を含む魚の消費を底上げし、人々の健康増進、地域振興、水産資源の有効活用に寄与したいと考えています。そこでまず刺身の美味しさや特徴を客観的に可視化することで、“名前を聞いたことのない魚は味がよくわからないので買えない”“おいしいと書かれているので買ったが自分には合わなかった”といった問題を解決しようと研究に取り組んでいます」と紹介しました。

また、別の会場では、ポスターセッションの参加者による1分間のショートプレゼンテーションが行われ、平岡隼人さん(海洋学部4年次生)が代表して詳しい研究成果を報告。「はじめに28名の学生と教員に65種類の刺身を提示し、色、香り、触感、味を表現する言葉を挙げてもらい、多く使われた言葉を用いて官能評価用語を決めました。続いて個体差や部位差を考慮してメバチマグロを産地別に3匹用意し、12名による官能評価と機器評価で統計を取り、縦軸が身の柔らかさ、横軸が油分量を表す表を制作し、可視化が可能であることを実証しました」と語りました。その後、ポスターセッションでは多くの来場者がブースを訪れ、熱心な質疑応答も行われました。

学部生時代から3年間、研究に携わっている関野龍太さん(大学院海洋学研究科海洋学専攻2年次生)は、「官能評価用語のリストを作る際には1000語以上の回答が集まり、まとめるのに苦労しました。でも今日の発表で多くの方が興味を持ってくれてうれしかったのと同時に、需要があると感じることができました」と振り返ります。後関雄斗さん(海洋学部4年次生)は、「今後は官能評価法をさらにブラッシュアップすると同時に、魚種を増やすなどして試験を継続していきたい」と意気込みを語りました。

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