「抗加齢ドック設立10周年記念講演会」を実施しました

医学部基盤診療学系健康管理学では、「抗加齢ドック設立10周年記念講演会」を10月22日に東海大学高輪キャンパス大講堂で開催しました。この講演会は、医学部付属東京病院の抗加齢ドック受診者を主な対象者として、ドックの成果報告や健康に関する最新の情報について紹介することを目的として毎年開催されており、今年は10周年記念講演会として開催されました。東京病院では2006年6月に、基礎医学、臨床医学やスポーツ医学などの英知を結集し抗加齢ドックを開設しましたが、同時に総合大学の利点を生かし、伊勢原の医学部内に研究機関としての大学院医学研究科ライフケアセンターが開設されました。ここでは、抗加齢ドックと緊密に連携しながら、受診された1849名(2016年9月上旬時点)のデータ分析を行うとともに、国や地方自治体、多くの企業と連携して健康に関する様々な研究を行っています。

当日は参加した約120名に向けて山田清志学長があいさつ。10周年の節目を祝うとともに、「東海大学では、医学部におけるアンチエイジング研究や診療の成果を学生や教員にも広げていきたいという思いから、2018年に健康分野に関する新学部の設置を計画しています。今日先生方にご講演いただく話を胸に刻み、私も日常生活を見直していきたいと思います」と語りました。

講演会ではまず、ライフケアセンターの石井直明センター長が講演会を初開催した10年前から今年までに解明された老化研究の成果について講演。老化の過程や遺伝子の違いで人によって最適な健康法が異なると解説し、「メディアの情報に振り回されず、抗加齢ドックなどを受診して自分に合った健康法を見極めることが大切」と説きました。続いて山田千積講師が、加齢によって筋肉量が落ちるに伴い基礎代謝も落ちるため、糖尿病にかかりやすくなるといったメカニズムについて解説。呼吸器内科学が専門の桑平一郎教授は、人体の肺の電子顕微鏡写真を見せながら喫煙による肺疾患や身体活動性の低下について話したほか、アメリカで推進している運動習慣などを紹介しました。続いて久保明客員教授が「加齢には個人差がある。科学は日々進化しているので、我々は受診された方一人ひとりに寄り添ったエイジングケアを一緒に考えます」と話しました。

2000年4月から2006年3月まで医学部付属病院長を努めた谷野隆三郎名誉教授は、形成外科医の視点から紫外線の害について解説。紫外線には3つの波長があることを説明し、人の皮膚への影響とケアの必要性について語りました。最後は、本講演会の総合司会を務めた西﨑泰弘教授が登壇。「抗加齢ドック10周年の歩み」をテーマに、抗加齢ドック設立の理念、一般ドックとの違いを説明するとともに、抗加齢ドック受診者の10年分のデータ解析結果を報告。「定期的な受診で、体の状態を知ることが予防の基本であり、受診者が適切にアドバイスに従うことで、実際に動脈硬化やホルモンの面で老化に抗う変化がもたらされている」と話しました。

講演後には、「水素水による健康作用」「どれくらいの食事量で食べ過ぎになるのか」などといった参加者からの質問に、石井センター長らが回答。最後は谷野名誉教授が参加者に謝意を述べるとともに、「アンチエイジングには、医師による診断や評価、生活習慣改善などアドバイスの先に、さまざまな治療法があるものです。しかし治療法の中にはエビデンスが確立していないものもあるので、ご自身にはどの方法が良いか今日ご登壇いただいた先生方に聞くことで、適切なアンチエイジングを行うようにしてください」と締めくくりました。

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